「真剣」

「真剣」
人間でありたい
人間を描きたい
フィラニアに侵食されて
抜け落ちる犬の毛並みを
私だと思うな
扉を開けてもらう甘え声の猫になるな
サラブレッドには憧れるが
その苦悩を知ろうと思うな
自由であれ
表現者であれ
自分を値切る甘さを棄てよ!
空を見上げよ
頭上にある星が欲しいなら
意志をぶつけて
手にいれろ!
孤高のあの人
今頃哭きながら
言葉を紡ぐ指に
キスをする為
自分で手にした
星をなんと名付けて
私ごと差し出そうか
悩みは「悩殺」すべし

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「霊感」

「霊感」
増幅する傀儡から
抜け落ちた邪恨の行方が
オゾンを侵して
酸性雨から身体に
染み付いた地球の涙を
私の中の子供が痛がる時
突然変異の方程式が
感情にシンクロし
緋色袴の巫女は
黒衣の聖母になりて
骸を数える
高野の山の法師は
山に引きこもり
戦慄く経典の文字は
更々こぼれおち
殺意の予感が地上を
ふきねけて
私を もう一人
降霊する

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「鍔迫りあい」

「鍔迫りあい」
尖端の突起が
相手の真ん中に
身 一つで飛び込めば
皮 擦れあい
息 漏らしあい
重なる拳を上下に揺らしながら
焦らしあい
汗だくになりながら
鬩ぎあう
どちらが袴の下を
覗き見るかの
真剣勝負

※袴の下は男女問わずノーパンです(真剣な実話)

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「なまつば」

「なまつば」
くれないに
染まった
ふくよかな
君を視ていると
なまつばが湧いて
仕方がない…

☆梅干し☆

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質問

質問
信じるって
どうすることですか
どうすれば
それができますか
強くなることですか
祈ることですか
すがることですか
それは
余裕ですか
不安ですか
あなたですら
教えてくれないのは
誰もそれを知らないからですか?

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夕暮れ時には

夕暮れ時には
夕暮れ時には
細い西日がよく似合う
高い水色だった空が
やや瑠璃色に染まり
ベンチには
独り佇む老人がよく似合う
夕暮れ時には
男性遍歴を重ねた
熟年女が歌う
スローバラードがよく似合う
恋愛の苦さが耳に染み込む
そういう深い色がよく似合う
夕暮れ時には
一冊の小さな詩集がよく似合う
今日の労力を
少しだけ労うような
先人たちの想いがよく似合う
夕暮れ時には
水滴がよく似合う
今日という終焉の美を
讃えるために
涙を一粒 こぼせばいい
その雫一滴で
今日の夕暮れは炎を鎮め
私達に
夜という潤いを運んでくるだろう

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呪いと縁(えにし)

呪いと縁(えにし)
母恋し 亡く泣く歳月 どこにある 見上げた空が 茜に滲んで
敬えと 言い切る人は 他人事 空言寝て言え 宗教法人
夕暮れは おうまがどきと 言うではないか 本当の母に 会える気がして
感謝せよ 感謝せよと繰り返す CDデッキは空回りのまま
産んでくれ 頼ん覚えありません 神の誤算を呪う夕暮れ
もういいや どうでもいいや 泣いてみて 笑ってみても 絶てない縁(えにし)
おかあさん おかあさんと泣いている 私の中の子供が騒ぐ
大好きに なれない痛み誰が知ろう 友にも言えずまして母には
親の愛 知らない子は 走り出す 愛を求めて 遍歴の旅
暮れてゆく空闇色に染まるのに 私の頬に 母への流星

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桜並木の門をくぐりたがる胸は
薄紅色の血脈が身体から飛び出し
誰かの内で鼓動が響き合う
桜の花びらが散って腐敗していく頃
土足で踏みにじる運動靴は
汚臭を発する
太陽が焦がれる高嶺の花は
異常気性なうえに
当たらない天気予報のように
いつも気まぐれ
桜の葉が汚濁にまみれ
排水溝に溜まっている
伸びすぎた前髪と後ろ髪
もっと綺麗に整えたくなった
サロンに行く途中のコスモス畑は
色鮮やかで目移りせずにはいられない
桜の木の静かな心音を吹雪がかき消す
雪が続くとまた春を振り返りたくなる
思い出が美化される
海綿状だけ見ていたい
桜の蕾が少しばかり紅色に染まる頃
ぬるくなったこたつから這い出て
来るべき春の扉のドアノブに手をかけたとき
台所の机には
冷めきってのびたしょうゆラーメンと
長持ちしすぎた蜂蜜漬けの梅干しが
残っていたので
泣きながら食べた

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「お前は私が背負う十字架だよ」

おまえは私の十字架だよ」
九十九神が居座る前は
枕草紙に出てくる親王が
我が名字
血筋の正統性は平にして
人が為
先祖代々独りが出家
永平寺にて阿闍離に為れる者もありやなしかと
聞き入りし祖母も
また
我が病の願掛け札を枕の下に
弥勒になりし 今
雷雨 吹きすさぶが如くに
父 深き因縁にて
罪悪人中の凡夫に導かれ
誤算の無一物を
まことしやかに信心し
有り金を使い果たし
母を怒鳴り
母は私に言葉にて
業をにやす
我 手首にためらい傷はしり
愛を乞うて
池にて入水
されど
天の雨の囁きか
一陣の風の御手に掬われ
我が身は白き部屋にて
隔離されし日もあれど
己が 病は進行し
また老いし父母も
手遅れの因縁に
命幾ばくもなく
最後に伝えられし
先祖から母へ伝言板
「お前は私たちが背負う十字架」
也やと

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雷雨のあとで

雷雨のあとで
空が割れて
雷様がおこっていらっしゃる
親父も怒ったので
気が炎に触れた
家をでて稲妻に撃たれる恋を探しに
出たけれど
ファミレスの牛の哀しさ
酸性雨に球体が涙
電撃が走り
いてもたっても居られず
夕立ちの空を見上げれば
ほら
瑠璃色の世界に

瑠璃色の地球に

ライブな生き方に

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