五月病

ゆれる、ゆれ、たちあがる、あわい、影に、
くるまれた、ままの、「わたし」の、身体は
ゆびさき、から受粉して 髪は緑にながれる
血が赤いという現実を、見捨てて、
血が赤かったという迷信を芽吹かせたのは、
「わたし」。
朝の倦怠を皿の上に飾って ナイフで切ると
昼の退屈を フォークで突き刺す
夕暮れは酷く、泣いてくれると言い聞かせて。
夢遊病者の夢が 星を渡っていく
蝕まれた森を 振り返る者たちは
必ず、守り人に尋ねる言葉がある
(あれは、誰が隠した包帯ですか?
鼓膜も網膜も剝がされていった「わたし」に
その、答えが 見つかるはずもなく
季節は 余白だらけで 今日も やさしい。

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