読み終えたら
いつか棄てられる本
例えば
本棚の片隅で埃にまみれて
タイトルが消えてたり
例えば
字の樹海に押し込められたまま
迷子になって泣き続けていたり
ましてや
ビニールテープで
ぐるぐる巻きに固められて
あの世に運ばれたり
そんな簡単なピリオドを
待ってたわけじゃない
もの言わぬあなたの
愛蔵書(こんせき)を旅するのが好き
一番好きなフレーズに
抱かれて眠るのが幸せ
あなたが もう
そのページを開くことが
叶わなくても
大切にしている行間に
私を挟んでくれたなら
文字の森の隙間から
一番星を見つけだし
薄い私を照らし出す
光に抱かれて眠りたい
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

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