おばすてやま

おばすてやま
となりのおばちゃんが姨捨山に捨てられてしもうたんやって。
そういえば夜中に実娘と婿養子に虐待受けて叫びよったもんなぁ。
それにあそこのおじさんんももうアカンやろ。
脳梗塞で金ばかり使う厄介者やって。
全く怖い世の中になったもんやなぁ。
食卓でしみじみと健康の有り難さを
囃し立てる父母たちの他人事は
母の膝関節の激痛と
父の手遅れの肝炎を笑っていた
昔 熱を出せば
苺がほしいと泣いた娘に
なんとかして苺を真冬に手に入れてきた母
難病とあらば祈祷まで頼んだ父
独りで何でも出来るようになった娘を
鏡が映したのは
荒れ狂う逆髪ボサボサに 髭を生やした山姥が
姨捨山の入場料金を風呂に入る前に銭勘定していた
とは知らない両親
慈悲喜捨の四無量心の「捨」が流行過の時代
姨捨山は 今日も満員御礼
姨捨山で 今日もコロリ

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