手帳

手帳
その方は通勤電車で
同時刻にいつも
乗り合わせる男性でした
メモ帳をお借りできますか
と言われたのですが
生憎メモ帳は持ちあわせていませんでした
全く知らない方でもないし
いつも会えるのだからと
仕方なく
私は手帳をお貸ししました
さっき買ったばかりです
まだ白紙です
これをあなたにお貸ししますから
今度会うときお返しください
と 言ったのに
あなたは手帳の一番始めのページを
キスマークだらけにして
汚してしまった
間のページは私の裸像画の散乱
最終ページに
あなたの捺印
 
私は栞をはさんで
「謹呈 私の全て」
と 書いた

カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。