灯す

灯す
月が空にひとつぽつんとしかない嫉妬に
青い火ひとつ
潮が渦を巻くくらいの感情の高浪に
赤い火ひとつ
四葉のクローバーを見つけても
三葉にしてしまう天の邪鬼に
緑の火ひとつ
生きているのは
何処かに産み捨てた人いる十字架に
金の火ひとつ
誰しもそれぞれが背負う
街並みの灯りと路地裏の陰
歩いてゆく
歩いてゆく
ひとりにひとつづつ
呪い
ひとりにひとつづつ
故郷
泣いてしまえ
スマートなスーツも
ブランドのストッキングも脱ぎ散らして
ひとりに一箱つづつ
分け与えられた
マッチの火を
今夜だけ点けながら
マッチ箱が
空になるまで
コトバを交わす

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