うそつき

うそつき
詩人は 真実を話す嘘つきである
ジャン・コクトーの名言が好きだったきみ
ぼくは、嘘つきになってしまったのだろうか
きみはぼくの描く売れない漫画が大好きで
熱烈な手紙もメールもくれたけど
きみは詩人で
ぼくに詩をかくことをすすめるので
片手間に書いてた詩みたいなものが
一人歩きした頃
きみは
あなたが詩人じゃなきゃ愛せたのに
と 言い残して消えた
ぼくは あれからも詩みたいな
小賢しい文章を連ねている
だけど
ぼくは僕の大嫌いな嘘つきになりさがり
愛を囁くすべてを失った
今でも
きみだけ傍にいてくれて
ぼくだけを理解してくれたなら
詩なんていらなかったのに
という本音すら
デタラメな言葉に聞こえて
自分の胸を抉ってみる
血を見てはきみへの温度を確かめていたのに
それでも
ちいさな甘いトゲたちがちくちくと刺さって
痛くて今はうごけないんだ
きっと 
ぼくは
真実を失った嘘つきである

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