コギト

コギト
若者が 
焚きつける炎の中に
言葉を投げ込むのは何故だ
  それは若さという火種
  誰もそうだったように
  お前もそうやって生きてきたんだろう
甘い声で囁く悪魔
駅前のバス停から 吐き出される
鈍い光を放つ革靴達の群れ
  あれは監獄へと向かうのだよ
老婆は北の地を指差して笑う
朝の来ない独房で
君は私が何をしているか知っているか
毎晩見知らぬ美しい裸体女を糧に
苦めのパイナップルジュースを搾っている
  湿った熱を握る
  ソレの為の手のひらで
  恋人の肩を抱き寄せるのよ
そう嘲笑うのは
練乳まみれの グラビア雑誌の熟女
では泥濘の地でも踏み締めて立つ
揺るがない真実はあるのか
私が問うと 私の中の神(わたし)が答える
それは考えるお前
コギト・エルゴ・スム
(我思うゆえに我あり)
それがお前の生きている手ごたえ
それがお前の生存許可書
それがお前の思想の足跡
私の内で脈動する
性と死と春の

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