NEKD  WOMAN

NEKD  WOMAN

出会いの始まりは メールの口説き文句
下心を読みとると 泣きたいほど愉快だった
顔の見えない王子様にでも縋り付きたかったし
永遠に淋しさと「さよなら」出来るなら
終わらない夢を白昼夢に添えられたのに
目が覚めたら 下着ごと放り出された
  (私は一つの煙草の吸い殻)
これが現実というやつか
慣れないことはするもんじゃないよ

響く警笛も時の暦に流されて
思い出のリングに指を通せば
まだ薬指に面影が通過するから
部屋の片隅に投げ捨てたのに
泣きながら
指輪の行方を下着姿で捜し回る/私
  (私 なにやってんの?)
居場所がほしいの
たった一人でさまよった街
泣いたって泣いたって
この声が誰にも届かないくらい大声でないたのよ
  (なのに ネオンが高笑い)
好きだったから 好きだったから なんでもできたの
涙より血を流すことの方が楽だったわ
  (壊れちゃったの オモチャのウサギ)
さよなら あなたが大好きだった
今は あなたが大嫌い
私は私が大嫌い
そんな私が大好きで そんな私が愛したあなた
  (ゲームー/オーバーな恋)
男運の悪さに泣いたとしても
私は私を止められない
嫌でも私と向き合って
嫉妬と愛をまるめこみ 
生きてゆく
 「女」

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鬼とバレンタイン

鬼とバレンタイン
豆拾い 群がり横取り延びる手に 人の本性 「鬼は内」「鬼は内」

チョコレート どうして旦那にやる日なの 愛はないのに 愛はないのに
くれてやる パンチにキック 往復ビンタ 浮気相手に甘さは不要
愛を込め 手作りチョコを プレゼント 隠し味に盛り塩二杯
くたくたの会社勤めとを知りながら お風呂でなさる それともここで

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純粋と革命

純粋と革命
虚偽纏い
栄華を誇る真ん中に
誠を投げ込んだ魂の呪文
「王様は裸じゃないかー!」
「王様は裸じゃないかー!」
何度も何度でも言ってやるさ!
お・う・さ・ま・は・は・だ・か・じ・ゃ・な・い・か〜!
破れたり 衣
敗れたり 権力
鏡は繰り返す
残酷なまでの大声で
勝利の名
無邪気な笑い
はしゃぐ子供
群衆の観の転換
ともすれば
真実とは純粋の二つ銘ではなかったか
さながら
修羅の道
選び歩み傷跡さらし
素足は
全て
国の為
皆の為
歩め殺めた
数知れず
王よ!
王冠と誇りを秤にかけよ!
群衆の謀事
革命を名乗る虐めの茨道
純粋と呼ぶならば
さてはさて
裁かれるは誰ぞ!

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楽園喪失

LOST PARADAISE
言葉無く 闇に残骸撒き散らし 四角い孤独が 影絵のように
独り部屋 過ぎた面影拾っては しがみつきたい貴女の微笑み
新しき 名が二人を裂く朝に 腕の中には 君の残り香
陽がのぼり 泣いた僕らを 嘲笑う 残酷に咲く 日常が届く
君でいて 私は私になるからと 笑顔の貴女 巻き戻せない
露草が 泪を流した午前2時 黒紫の孤独が溢れて
御揃いのストラップは熊と猫 愛の形見は主を失う
透明な球体(へや)の恋の傷痕(きず)口を 「さよなら」と描く紅き楽園

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家族とため息

家族とため息
母親を 蹴飛ばし逃げた20代 介護が始まる母の還暦
働いた金は全て俺の物 ジャイアン主義に泣いた鬼嫁
読経が 有難いと涙した 祖母の遺影は未だ哀しげ
今日もきた 父の友と名乗る人 父も知らない知らない友達
家を出て横浜に住む弟は 西の雲行き眺めてため息
先妻と母と愛人孕ませて 祖母の危篤時 父はパチンコ
祖父母逝き 跡に残るは藁葺き家 住んでいるのは九十九神
青春と呼べるものがある人よ それは「友」と呼べる財産

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卑屈と反省と自暴自棄

卑屈と反省と自暴自棄
紙切れの上で喧嘩を売る口は 人に響かず犬が遠吠え
難しい言葉に比喩に倒置法 なにがなんだか質むずがゆい
感情と愛と技術は別物です 分裂病は未だ治らず
結婚に長い手順を踏むように 韻もふめない不明な作文
難問を 提起するのが大好きな政治家と私の二人三脚
いい加減 このテーマで歌詠みは 正直キツイぜ マジへこみすぎ
そのわりに 即席にしてはナイスだと ちょとにんまり かなり複雑

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枠の外

枠の外
世界をデジカメのフレームで区切りたい昼下がり
「詩人」だとか「文学」だとか「哲学者」だとかの
記号の群れ達から飛び出したのは画用紙と水彩色鉛筆
昨日 窓の外側に向かってため息をついていた君も
今日 恋人から約束のメールがこない貴女も
営業のノルマに追いつけないセールスマンのエスカップも
国会議員の論争と昼寝のような気まぐれ管理職と同じ狭間
    思想は崇高なテロリスト
    赤と黒の激しいメロディー
    やっぱり 響き渡るから
    さっぱり 今日が沈まない
青いビニールシートに寝っ転がって
空ばかりみていました
空ばかりみていました
そしたら
空っぽになってしまいました
私は見つからないはず
それは きっと「アパシー」で
それは きっと「アメジストのパワー」で
キントンウンの行方ばかり気になる私は 
きっと きっと  枠の外

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楽園へ

楽園へ
片手には地球と同じ重さの錠剤
これは楽園行きの片道切符
君からメールも電話もこないのは
きっと鏡の国のウサギに誘惑されちゃったんだね
君は気まぐれアリス
片手には イギリス製のティーカップにロイヤルミルクティ
不思議の国を味わってキノコの上でお昼寝中
アリス
会いたかったよ
会いたかったよ
君は知らないだろうけど
君は知らないだろうけど
片手には地球と同じ重さの錠剤
これは楽園行きの片道切符
君の嫌がる感情は
総てシュレッダーにかけてきて
僕は虚空で愛を詠う
中途半端でダメな智天使(ケルビム)

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愚者の理

愚者の理
汚れたこの手に
紅い慟哭を掴んでは 握りつぶし続ける
  
   自らを傷つけて 
     望んだものを手にする瞬間は
       いつも
         残酷で
            ひどく…
     
                 愉快だ

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合掌する手

合掌する手
戦後資本主義が生んだ
ユウセイホゴホウにより
堕胎天国は幕を開け
女共は 素知らぬ顔で殺し続けた
透明なぬけがらを
何体背をっているかが
ステータスになった男に足を開き
従軍慰安婦の末裔は
要らぬ命ばかり生産する
間違えて産んでしまいました
の 生存許可書は剥奪され
虐待と衰退と餓死の履歴書は
積載量オーバー
社会保険庁博愛児童福祉課は
困るんですよねぇ
の一点張りで愛想笑い
ぐるぐるまわってあの世から
いつのまにかの偶像崇拝
透明なケースの中
飲めない牛乳
使えないお金
線香一本の人生
必ず消えるろうそく
となりには
薬指に炎のようなルビーが灯る
おばさんの
オムツも代えたことのない
合掌する手

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