虚無の詩

虚無の詩
胸の空洞に私の魂の死体
命の灯火を奪われても
暗闇で泣いてはダメ
廃人はポツリとも呟けない
孵りたい
新しい春の川辺のオタマジャクシでいいから
誰かに掬われたい
救われたい
そんな幻すら
泡沫の夢
振りきれない情熱は
もう 枕の下でガビになった
アパシーの意味を今更辞書で
調べる必要性は無駄なだけ
虚無が巨夢に膨らんで
どんなに瞳から雨を
降らせても
晴れた空は大欠伸

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春の涙

春の涙
「春の涙」
桜が泣く
花びらを散らしながら
あなたの才能を狭めたと
僕は桜を恨まない
この手で掬えるのは
君の思い
この手で救えるのは
君の未来
だから
文字はいらない
伝える言葉が壊れても
君のそばにいられるなら
それはなんて
美しい春の涙

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雪の花

雪の花
「雪の花」
貴方は瞳の虚空を映して
移ろいゆく景色に
粉雪の行方を占う
花は二つ
咲いたら黙る
咲いたら声が枯れる
貴方の温かさに
救われながら
花たちは
駆け込み乗車のような恋を
乗車券も持たずに
楽しむつもりだ
全く
かまくらの温かさも知らないくせに
春に向かって 花二つ
泣きながらヒソヒソ話

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輝き

輝き
輝き
私が貴方に与えた
唯一無二の
名に恥じることなく
唯、そのままに
有終の美を
世界に知らしめる
光たらんことを
祈る
貴方は
沈まずの太陽
私は
それに魅せられた
夕暮れの向日葵
貴方は天を焦がし
私は
頭(こうべ)を垂れ
土に涙を落とす
夏の夢は覚めず
また
夏の恋も然り
輝きて
輝きて
唯 輝きて

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雪の華     (恋歌)

雪の華
雪の華
舞い降りて ティアラみたいな雪の華 薫りは君だ そっとくちづけ   (乱太郎)
 
降り積もる温もりの夜に身を委ね 絡み合う恋 ひっそりと咲く    (月夜見)
咲ききって 激しく咲いて揺れる茎 時の雫に 溺れ流れる    (乱太郎)
白き地を 紅に染めて咲く華は 吹雪を喚んで 鮮やかに舞う   (月夜見)
風誘い 白鳥が舞う月明かり 話すことも歌うこともない    (乱太郎)
風強く 髪は乱れて芯は濡れ 挿した花にも痺れはとれず     (月夜見)
雪の華 枯れることなく凛として 恋の畔で君を見つめる      (乱太郎)
雪の華 見つめ合う視線は同じ 触れることなく褪めることなく
  
                           
                             (月夜見)
※「月夜見」は、宵野 倭の昔のハンドルネームです。
あしからず・・・。

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赤く咲く声

赤く咲く声
手を伸ばせばその声に
爪を伸ばせば届きそう
捻れるように
掴まえて
破壊と再生を
装って
踊る神の足の下
無限の闇から降り立つ有限
指先のその先の月光花
たどり着ければ
聞こえるでしょう
相対の世界のうめき声
蔦の這う
古城に取り残された生け贄が
垂れ流す愛の
掠れ声
ペンを挿し込めれば
あなたとの下肢が
擦れた音を立てて
忍び込み
私の声が
赤く咲く
産声で忠誠
縛められた舌から
伸びる赤い 蛇の反逆
黎明を待たずに唇から
絞首刑で口封じ
嘘には罰を
手には刃を
私に牙を
あなたに報いを

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ソコがない

ソコがない
勘違いで恋をして
勘違で花が咲く
勘違いは居心地よくて
勘違いはiモード
勘違いが嘲笑い
勘違いが嘘をつく
勘違いに思い込み
重いゴミは
運べない
重いいゴミには灰が似合う
思い込みには秋が似合う
薄紅色の腐ったゴミは
早めに処分 廃棄処分
じゃないと泣くのは私
ソコもないのに
嘘もまことしやかに信じる自分
勘違いにはソコがない
其処が何処かもしらぬまま
浮かれる私を
笑ってるのは舞台裏

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花宵道中

花宵道中
夜の宴 舞うよ 花弁 桜は満開
されど
青紫の痣の悲しみは
風花に染められ
春告鳥の声を後ろに
春は未だ来たらず
虚構をばかりを
指で触れれば
あなたの情熱が涙を零す
春とうからじ
その呼び声は今宵の雨に打たれ
凍てつく芯に杭を刺し
滑る筆が静寂の帳に
渇愛から慈愛へ変貌する
私は画布の蝶の羽ばたきに
未来に準え
冬の隙間から延びる採光に
薄紅色のリボンで口を紡ぐ
時立ち行けば
花は橘と飽きは聞く
尋ね歩む狂女の花宵道中
華楊の屏風に泣き笑い
花籠に描かれた華は枯れても闇に詠えば 恋 恋 恋

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ゆりかご

ゆりかご
私ににさしのべられた手のひらは
真っ直ぐな炎をひた隠しに冬の枝先に結んで
泣きわめく子を起こさぬように
ただ その為だけに
今 彼は手のひらに釘を打つ
彼は
子供が泣かぬように
泣かぬようにと
静かに温かくゆりかごを
揺すり続けるので
流れる血が静寂を押し拡げ
大地は活火山を失い
ぶつかるプレートはなく
宇宙は子守唄にみたされた
ただ
マグマのような鼓動だけ
泣く子を
眠らし揺らし
あやし続ける
彼の手にはまだ釘が刺さったままなのに
ずっとずっと
深淵なる夜の淵を揺らし続ける
世界は血と涙に呼応し
いつしかそれを
神は
「優しさ」と
名付けた

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のこすもの

のこすもの
僕が君に遺すもの
変な紙切れの束ひとつ
僕が君に遺すもの
インクとちびた色鉛筆
僕が君に遺すもの
苔になる躯
忘れないで
紅いランプの下
浮かび上がる輪郭
白い肌
月夜に交わした
くちづけの甘さ
菫の香に誘われた愛撫
やけくそになった
叱責同士の喧嘩
携帯から誘惑した
吐息と従順な柔らかい声
掠れた呼び名
墜ちた花弁
濡れた身体
零れた緋蜜
溶けた夜
激しい波の高鳴りに
啼いたナイチンゲールよ
籠は思い出を閉じ込めたまま錆びたのだ
電車が来るから僕は逝く
朝のこない電車に乗るのだ
僕が君に遺すもの
僕のわがまま
消える足跡
止まった時計
来ない春
君が僕に残すもの
精一杯の真っ直ぐな
僕だけ見つめ続けた瞳と涙
最期に僕が残した者は
愛した君
君自身

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