星々の悲しみ

星々の悲しみ
茜雲追って躓く泣いた日に頬を零れる流星ひとつ
夜空にも見えない星がひとつある あなたがいない あなたがいない
吹きさらす暗闇の彼方に手を伸ばし掴んだ星は嵐という名 </span

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夢
夢にもみたことのない
あなたが
夢に現れて
夢にみたような事を
言うので
びっくりして
目覚てしまった
ごめんなさい
あなたは
午前5時の
瞼の奥に
閉じこめられたまま
私と一緒に
夢の途中

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迎春

迎春
迎春
【迎春】
あなたを
迎入れたら
お節料理に
春を詰め込んで
折り鶴が運ぶ
御神酒で飛ぼう
いよいよあなたは
宵の酔い口
お布団しいたら
布団の中の鶴と亀は
紅白歌合戦
除夜の鐘が響くまで
わたしとあなたは
煩悩の百八つ目を
数えあげ
浄心
初夢
一富士二鷹三茄子
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二人ぼっち

二人ぼっち
辿り着くことのない
小指の約束
薬指に光る
リングくらい遠い人
夜に電波塔から発信される
アイラヴユー
私たちなんて近くて遠い
指先だけの街にいるの
淋しい夜の路地裏で
口笛ふき
怖くないよと
灯りを求めて
泣く子のように
私たち
二人ぼっち

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新たな一字

新たな一字
今年がゆっくりと
重い荷物を背負って
通り過ぎてゆく
裾の長いコートを
年の瀬に引っ張るような
未練の風に吹かれたが
あなた方が繋いでくれた
手のひらを握りしめていたら
コートに隠れていた
新年が
私のセーターの胸元から
今年の抱負を連れてきた
あぁ
なんと書こう
この偉大なる
手のひらのぬくもりを
この
未来につながる
夜明け前の
一文字を
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夜想

夜想
茅の外には蟋蟀がか細い音を
隅々に通わせていた
それは月光に曝された
虫の息
薄明るい十六夜
夜のかたまりが路の端へ流れながら
蒼白く行進してゆく
三叉路の標識に引っかかった
亡霊の衣擦れ
地蔵堂の扉が開いて鬼ごっこ
静かな月祭り
音も無く聞こえる笙の笛
皆を幽谷へ誘う
笙の笛
石を穿つ決意の哀しみは
黄泉路を振り返った
刹那に零した二人の
【あ】の火
無明の眠りから
何かがフッと囁いて二人の
【あ】の火が消え果てる
あるべきものが
在るべき国に還るのだ
おやすみなさい
胸の空洞から念仏が聞こえる

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祈り

祈り
祈り
この細い道のりの
向こう側に
待っているひと
祈り
独りぼっちの部屋で
呟くような
口笛
祈り
一筋の頬を伝う
あなたへの
花咲く涙
遠くに見えた光
君からもらった
生きる言葉
祈り
ともすれば
誰かが
飛ばした
白紙の紙飛行機

(叙情文芸141号佳作作品)

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詩集がみつからない

詩集が見つからない
君にあげる詩集が見つからない
私の陳腐な言葉じゃ間に合わない
下手なメタファじゃ
真心が独りよがりの余所の国
君の心の隙間に
じわじわと染み込むような
君の鋳型にピッタリ当てはまるような
思わず笑ってくれるような
忽ち愛(かな)しく泣きだすような
文字を探す 探す 探す 探す
何年もかけた秘蔵書に 収集した本棚は
君に想いを告げられない

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戸惑い

戸惑い
戸惑い
蒼白い氷雨針
冷めた囲い人の焔
ながされ たゆたう
小さな情熱
唇のような赤などいらないから
小さな棘をひとつだけください
あの人の胸に
小さく刺さるだけの
揺らめきを
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恋愛ごっこ

恋愛ごっこ
さっぱりと切った髪を弄っては軽くなった過去にサヨナラ
手折られる花一輪の哀しみを抱いてふるえる冬の陽光
ねぇ夏美 恋って冬至を越えれるの 試して傷を幾つ数えた
初霜に蝕まれゆく花びらのようなあなたの心がみたい
この指輪あなたが噛んだ歯形です今は見知らぬ誰かの傷痕
固いなら約束なんていらないのふるえる指が欲しがるリング
哀しみを重ね塗りする悪戯を教えて重ねた罪木を崩し
囲まれた四角い部屋はいつも夜朝を遮る白い錠剤
寒空に心ひとつ置き去りに透明に濁る君への想い
愛してはいけない人と知りながら背伸びした分キスして欲しい
目を閉じて独りの夜を閉じこめる瞼は火照る君を想えば
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