悲しみ

悲しみ
宇宙が瞬きしている間に
地球から一滴の
海が溢れた
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不在の国

不在の国
悲しみに飽きてしまえば面倒な君ごと捨てる愛だの恋だの
どこまでも翻弄された歳月に太陽と月は もう巡らない
幸せな記憶の底に君不在 乾いた砂漠 そこが君の場
困らない 君が消えても変わっても 僕の世界は 無限に広がる

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蛇の恋

蛇の恋
男よ
あなたの肋骨から
私を造り直してください
神より近く
愛より遠い
あなたの喉仏から
二人の過ちの声が
楽園の空を切り裂く
ひとかじりの
林檎の滴から
狡猾な女が垂れ流す
淫猥な蜜
溶ける骨
絡み合う舌
蛇の恋

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煙草と栞  3

煙草と栞 3
わたし今 君に恋文書いてるの 好きと嫌いの皮肉をまぜて
辛辣な言葉もなくて私達うまくいってる うまくやってる
誰とでも指切りげんまん出来る手を憎んで泣いた日々が可愛い
まだ好きだ なんてメールが来る毎に 読んで楽しむ私は不在
難解な恋愛小詩が届く度 あなたが潜む私のケイタイ
「お前のことムカつく時もあるけれど」続きを言えない君が大好き
恋心メール受信する夜は見せてはいけない涙を送信
アイシテル電波が届く二十四時あなたの肌にアクセスしたい
一夜きり一夜きりっていうけれど あなたの夜は千夜一夜
恋してはならぬ煙草の似合う人 私は栞みたいな薄さ

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煙草と栞  2

煙草と栞 2
本を繰るくちづけシーンに栞ごとあなたを閉じる瞼が熱い
イニシャルを同じリングに刻んでは独りで嵌める親指小指
ディオールのハーレンハイトの香りから思い出だけがくゆりと煙る
悪戯にはしゃいだ日々を引き出して写真の人はさようならの君
好きですと真っ正面から言えたなら中毒になるわ煙草と君に
指が好き長い煙草を挟むよう私に触れた遠い指先
愛読者あなたが好む恋愛詩そこに私の居場所はあるの
秘蔵書に挟んだ栞押し花に色ありますか薫っていますか
あなたの目いつも虚空を見つめてるそこから私はみえていますか
秋晴れに紅葉が紅くなる前に栞に挟んだ新緑の恋

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煙草と栞 1

煙草と栞  1
欲しい人煙草好きの詩人さん愛読書にはいつも栞が
教会の鐘が響くの草原で私の隣に空白の人
煙草吸う指に光るプラチナが私の胸を紅く切り裂く
お揃いのペアリングなど持ってない近くて遠い憧れの人
運命が絡まっていた 赤い糸宇宙の誰かに切断された
愛してる昨日の言葉は今日の嘘 君のすべてが今日でおしまい
街角で見かけた君の隣には背丈も似合う小さな女性
そんな顔して笑うんだ微笑む君はよそ行きの顔
好きなんだ 過ぎた季節にメイプルが色付き始める秋は嫌いよ
あなたの名千回呼んでも振り向かない千一回めがもう呼べなくて
君の指いつも煙草を挟んでる私のこともどこかに挟んで

 

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一月

一月
一月
Photo. R

冬から零れた
ちいさな春が
笑いながら
福寿草にひかりを
宿す
おめでとう
明けない夜はないのだと
囁くように
告げながら
二月に夜明け前を
手渡して
黎明の薫りを
開け放つ
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散華

散華
散華
華やかに
朱に染まる
花びらは
色はくれない
紅をさす
いつまでも
散らない緑を
恨んでみても
越えられないのが
華の涙か
散華の女
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花占いとうたつかい

花占いとうたつかい
花占い好きか嫌いかよりわける残酷な私と男と恋と
美辞麗句並べてみてもおいつけぬ綺麗な歌の裏には棘が
うたつかい聞いてくださいこの声を既婚のくせに好きだよ 好きだよ

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少女と実験室

少女と実験室
スカートをたくしあげたるその夜に一輪挿しの赤い花咲く
理科室に飾られている孤児(みなしご)の瓶に映る私の秘密
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