ミネストローネ

ミネストローネ
石をも穿つ/水滴に溺れながら/此処までやってきたけれど/泥濘に足をとられ/愛するほどに/あなたは遠く/私の思想は/檻の中でもがきつづけ/感情は腐食し/孤独の苦さが/雨音と踊る/
時は錆び付いて/悲しみだけが/自分を愛し始める/終わらない過去たちが/叫び声をあげて/記憶の扉を叩き続ける/こじ開けてみても/あなはもう/私の運命にはいない人/
カテゴリー: 02_詩 | コメントする


空蝉の唐衣脱ぎて残り香に託す想いも君は知らずや
カテゴリー: 06_短歌 | コメントする


逢瀬時喘ぐ二匹ぞ蝉時雨
カテゴリー: 07_俳句 | コメントする

贖罪が響いて

贖罪が響いて
髪を切り贖罪映す水鏡己に報いを神に刃(やいば)を
欲望の渦巻く中にあろうとも欺けぬ罪知る人ぞ君

カテゴリー: 06_短歌 | コメントする

雷鳴

雷鳴

あの夜の嵐を
私は忘れる事ができない
神鳴りが
あなたの奥深くで
ひび割れた音をきく
私の身体(そら)を
真空の光で裂いた
あの夜から
春蘭に目眩を起こし
剥き出しになった
雷獣が
まだ瞼の奥に住みついて
時々雄叫びをあげる
震える身体を
抱いて独りで眠る
好きです
なんて程遠いほどに
あなたが恋しい
夜も昼も
私を征服して
なにも言えないほどに
抱いていて
カテゴリー: 02_詩 | コメントする

永遠の少年

永遠の少年

あなたを失ったら
自殺するといった
永遠の少年
僕には障害があるけど
あなたを全力で愛する
と泣きながら
叫んだ
いつかの少年
もう おじさんレベルなのに
首の曲がった女なんかの
どこがいいの
見上げれば
嵐のあとには
真っ赤な夕焼け
散歩途中で躓いた
老犬
そういえば
お前も子犬の頃から
私に
捨てられないと
信じて余命を生きる
永遠の少年だったね
今も
あの澄んだ目で
私を見つめながら
泣いているのか
夕日を雲が隠して
今は
愛することの
意味すら
わからないままに
永遠の
向こう側にいった
いつかの少年
老犬が
じっと私を
見つめている

カテゴリー: 02_詩 | コメントする

生きる

生きる

何もかもが嫌になってさっき睡眠薬を多量に飲んだ
私は健常者ではない。一生手立てのないある疾患を持っていた。
父はいない。母は仕事。娘が死のうとするその瞬間さえも仕事。
毎日息をするのも辛い。無理して笑ってみても変な顔
人は病人の気持ちなんて分からない。
頑張れないときに頑張れと、励ます友人の心強さが恨めしかった。
私は目前の池に目を向ける。
ゆっくり入水自殺する。一挙手一投足が自殺。
私は狂っている。私はいらない子。私は誰からも愛されない。
沈んでゆく私の手のひらに猫じゃらし。
最期の草。もう晩秋。
私と同じように朽ちてゆくのか。
ねえ、これが最期。最期だけ良いことをしよう。
引っ張らないでいてあげる。
そうしたら、お前はその体に撓わな種をつけ
来年の春にはお前の分身を生み、春の陽気に微睡み
夏の陽差しを乗り越え、また来年の今頃には
一生懸命に生きて新しい自分の分身を生み出す。
それが、自然の理。
あぁ、今、わかった。
私に足りなかったものはそうゆうものなのだ .
誰かに褒めてもらおうとか
誰かに愛されたいとか
という孤独な虚栄心
ただそこにあるだけで
必要とされる生きているものの温かさ。
そういうものに生まれ変われるなら
私は心の底から「生きたい」と願うのだ。

カテゴリー: 08_エッセイ | コメントする

オフィーリア

オフィーリア
オフィーリア

オフィーリアよ
お前のその祈りは
誰のためなのか
恋するが故に
狂気を纏い
死して尚
その紅き唇から
なにを語るのか
オフィーリアよ
渦巻く策謀の罠に
堕ちた
儚き夢を渡る少女よ
カテゴリー: 04_携帯写真+詩 | コメントする

常春

常春
身体じゅうの痣から
透明な茎がでて
病室で溜め息を吐く度
花が咲く
プランタンの菫が
赤や紫や黄色になって
身体じゅうに咲く
痛くはない
辛くはない
ただ頭に
花が咲いたら
春がきたとおもいなさい
此方へは
還ってこれない
拘束ベッドの
箱庭で
枯れない菫が
植えられてゆく
カテゴリー: 00_未分類 | コメントする

ある恋いの形見に

ある恋の形見に
戻れない蜜月を
振り返れば
其処には欠けた三日月
鋭い鎌で胸を刺し続けた僕らの
いつかの夜空の爪痕
今更の今日が
明日を隠すんだ
孤独が約束に
鍵をかけるんだ
満ち足りない日常に
くるまれた新聞紙から
腐った桃から滴り落ちた
水蜜桃の苦さを
僕は知ってるから
違う果実を探しながら
過去を千切りながら歩く
熟れ落ちた林檎を
かじってみても
僕らには
エデンは遠く
君またも遠い
僕は果てしない
夢を見るために
瞼を閉じた
琥珀色の瞳に
君を染まらせないように
そんな色のブランデーの海に
君を酔わせないために
孤独が約束通り過ぎた夜
狡い僕から
風に揺れてる
雛罌粟のような君へ

カテゴリー: 02_詩 | コメントする