4月20日の夢(黒い森)

 岡山のあたりにみんなで旅行に来ている。バスで観光に行く。男性ガイドが「このあたりで観光地といえば大きな川しかありません」とマイクで言う。川を渡り始めたが、窓から見えるのは山だ。その山には稜線をはじめ、CGのグラフのように白く光る線が縦横に走っている。やがて窓外は新緑の森になる。と思ううちに、外は夜のように暗くなる。「もう5分も10分も暗闇の中を走っていますよね」というガイドの声で、我に返る。そうか。ここは昼なお暗い「黒い森」なのだ。
 タクシーで駅に着き、運転手に千円札のつもりで5千円札を渡してしまう。だがメーターを見直すと2千円台だから、これでいいのだ。運転手がおつりに苦労している。そうか。ここは外国だから日本円で払うと、おつりの換算が難しいのだ。なんとかおつりを貰うが、どうも損をした気がする。
 駅のホームを歩いていると、見知らぬ女性から「振り返ると名古屋が見えるというのはこのあたりですか」と声をかけられる。ここは岡山あたりだから、見えるはずがない。ぼくは夢日記としてそのフレーズを書いたのだが、女性は現実として受け止めたらしい。
 ホームにはいい香りが立ち込めている。女性は「これは私の好きな匂いなの」と言う。跨線橋の下に売店があって、太ったおばさんがいろんな香木を焚いて、売っている。
 駅で着替えている。まだ着替えの入った荷物が着いていないが、ズボンを脱いで灰色のパンツ一枚になる。なぜかベルトが二本ある。ズボンは一つなのに。
 会社にいる。ぼくは辞める直前だからと、フロアの周囲に殆ど人のいない場所にデスクを貰った。だから灰色のパンツ一丁で仕事していてもかまわない。Iくんが来て、ぼくの机の上の小銭の入ったガラス瓶を勝手に持っていく。またやってきて、別のガラス瓶を取ろうとする。「それは外国のコインしか入っていないよ。日本のはさっき君が持って行ってしまったじゃないか」と言うと、彼もさすがにあきらめてくれた。

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4月18日の夢(生協食堂)

 お弁当に買ってきたブラ容器入りのお寿司を食べ、残りをゴミ箱に捨てる。だが、まだ食べ残しがあったのに気づき、もったいないのでもう一度拾い上げ、食べる。しかし、梅干によく似た外国製のフルーツのようなものが、中に入った三角おにぎりのようなものがあっただけ。がっかりだ。
 ランチの時間になったので、妻を誘って生協食堂へと階段を下りる。階段に所狭しと、オムライスなどの見本が並べられ、歩きにくいが、それを見てオムライスを食べたくなる。でも、食べるのはやはりカレーにしよう。ところが、食堂の入り口に着くと、メニューの見本は乱雑に床に投げ散らされている。今日はもう営業が終わってしまったのだろうか。中に入ると、タータンチェックのクロスをかけたテーブルにぱらぱらとお客が食事をしている。カウンターの中で、眼鏡をかけた実直そうな男性のコックがフライパンを炒めている。「何かご飯もので食べられるものありますか」と尋ねると、「さっき北島さんという人が電話で予約してきて、そのたきまであったんだけど、もうないんだよ」という返事。「じゃあいいよ」とぼくは言い、妻とともに階段を引き返す。

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4月17日の夢(雪とアヒルの子)

 3日間のツアーのコンダクターをもう一人の男性とともにしている。男性は眼鏡をかけていて、ちょっとあぶない感じの人。殆ど立ちっぱなしなので、自分の体力が心配だったが、1日目は無事に終わりそうだ。
 一面に真っ白な雪が大地を埋めている。好きな女の子の家の玄関に続く石段をこっそり降りる。表札を見れば、その子の生年が分かると思ったからだ。石段の前に大きな窓があり、その子の家族3人がテーブルを囲んでテレビを見ているのが、外からうかがえる。気づかれないようにこっそりと玄関まで降り、そちらを見ないように慌てて駆け上がる。彼女は1962年生まれだとわかった。ということは、今年は1974年だから、もういつのまにか思春期になったのだ。だとしたら、ぼくを好きになってもおかしくない年齢だと、嬉しくなる。
 雪の中を逃げるように歩く途中、はいていたスリッパが片方だけ脱げてしまう。慌てて戻り、またはき直す。雪の中に生まれたばかりの二羽のアヒルの子が横たわっている。一羽は首が折れて、今にも死んでしまいそうだが、まだ何かを叫んでいる。道の向こうには暗い海が広がっている。

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4月14日の夢(犬を抱きしめる)

 白い犬を両手で抱えるようにして、抱きしめている。犬は抵抗しない。犬もぼくも皆も、ギュっとされることに飢えていたんだなあと思う。

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4月13日の夢(捨てたメモ)

 浜松へ校正を持っていこうとして、現地のクライアントに電話でアポをとる。しかし、他の仕事にかまけて夕方まで会社を出られなかった。今週はもう無理なので、来週の約束をとり直そうと思う。しかし、そのためにはぼくの右隣に座っている上司のN氏の都合を聞かねばならないし、クライアントにも予定があるだろう。だが、電話しようとして、連絡先の担当者の名前や電話番号を書いたメモを、不要と思って捨ててしまったことに気づく。あわてて会社の外に出て、隣接する古びた一軒家の周りを探す。見つからない。本当にぼくはこんなところにメモを捨てたのだろうか。

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4月12日の夢(だまされているはどっち?)

 船に乗ってみんなで海賊退治に行ったが、逆にだまされて彼らの配下にされてしまった。だが、実はこれはだまされたふりをしただけで、ぼくらの勝利に終わる。
 詩人たちが震災と原発事故についての詩を書いている。その中で、女性詩人のKさんだけが対立する詩をひとり書いている。「みんなはだまされているんだ」と彼女は言う。一体どちらが正しいんだろう?

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4月11日の夢(水底に沈む人々)

 ぼくは山の上にいる。見晴らしがよく、下にある町が一望できる。ものすごい風が吹きすさんでいて、いろいろなものが吹き飛ばされていくのを、ぼくはみんなと指さしながらなすすべもなく眺めている。風の中で右往左往する人々も見える。
 いつのまにか町は青黒い一面の水におおわれている。その水底に黒い蛙の卵のように沈んで、風が吹く度に思い出したように揺れているもの。あれはみんな町の住人たちだ。
 町を滅ぼしたものと対決するため、ぼくらは老賢人の指揮のもと、町の寺院に向かう。老賢人を演じるのは、かつての「詩学」の名編集者・嵯峨信之さんだ。ぼくらは魑魅魍魎と闘い、勝利を収める。だが、これは現実ではなく、街頭で演じられる群衆ドラマらしい。左前方で肩にプロジェクターをかついだ男性が、寺院の壁に太陽が昇ってくるシーンを映し出し、ぼくらはそれに向かって勝鬨を挙げる予定だったが、男性は間違えてドラマの一部始終を早回しで映し出しただけだ。かたわらにいた進行係の詩人N氏が「違うよ。朝日の昇るシーンだよ」と注意するが、男性は彼の言葉を理解しないまま、太陽の昇る前のシーンで上映を打ち切ってしまう。N氏は男性に「わかってる?」と尋ねるが、結局「わかってないみたいだな」と苦笑するだけだ。

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4月10日の夢(地震を買う)

 大地震は人民管理になることが法律で定められているが、こんな状勢だから、小さな地震も人民管理にするよう、手続きに行こうと、都電に乗る。ぼくの隣に妻と、編集委員のSさんが座っている。なぜかぼくだけ高い窓枠に座っているため、土足の両足がぶらぶらして、二人にぶつかりそうなので、座席に降りる。
 気がつくと、ぼくと妻は電車の出入り口近くに二人だけで座っているが、傘を何本も携えているため、整理が大変だ。
 地震管理の役所に着いた。地震を2000円で買うため、コインを出す。500円玉に100円玉を何枚もポケットから取り出すが、うまくつかめなくて何度も床にぶちまけてしまう。やっと拾い集めるが、何かのプラスティックケースを壊したようで、そのギザギザして破片が混じっていて、とても危険だ。

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4月5日の夢(水野晴郎さん)

 ある詩の催しに向かい、妻と一緒に神田あたりの道を歩いている。後ろから編集委員のSさんの声が聞こえるので、てっきり自分たちに向けられたものだと思って返事をしたが、別の人宛てだったらしい。彼女は「今日はお風呂に入らない日だからいいわね」と言いながらぼくらを追い越し、先にイベントの受付の列に並ぶ。
 受付の横に窓口のカウンターのようなものがあり、そこには昔風の口ひげをはやした五人の男性が並び、ぼくらに話しかけてくる。
 いくつかのグループの受付が終わり、ぼくら夫婦の番になった。受付をしているのはなんと、亡くなったはずの映画解説者、水野晴郎さんだ。まだ生きておられたのか?! 「どこかであなたににはお会いしましたよね」と水野さん。「はい。X社のPR誌のインタビューでした。いやー、ピアノも映画もいいですよね、とお話ししていただきました」とぼく。「でも考えてみると、随分強引に二つを結びつけたものですよね」と二人で笑い合う。

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4月4日の夢(津波)

 高層ビルの二十階で行われている男性歌手のコンサートを取材する。お客は少ない。会社に戻ると、津波が襲ってきた。みんなでタクシーに分乗して、家に帰ることにする。ぼくの乗った車には、編集委員のH氏と誰だか分からないがヤーさんのような男、それに知らない女性が同乗する。
 しかし、タクシーは津波の上に浮かぶ形になり、波任せで街路を進んでいくしかない。運転席のフロントグラス越しに、水面に何かの箱が一つ、ぷかぷか浮かんで近づいてくるのが見える。
 交差点で向こうから来た別のタクシーの群と鉢合わせになる。このままではぶつかると思ったが、運転手が機転を利かせてバックし、事なきを得る。ホテルを会社が十日分予約してくれたので、そこに避難することにする。皆は「一色さんがお金を払ってくれるなら、ここに泊まるが、そうでなければ帰宅したい」と言う。しかし、ぼくのお金はさっきの取材で使い果たしてしまった。皆で歩いて帰宅することにする。
 途中、コンクリートの塀の上のようなところを歩いていて、H氏が足をすべらせて落ちてしまう。地面に顔から落ちて、ぐしゃっといういやな音がする。「しまった!」と叫び、急いで駆け下りて、介抱をする。男がH氏の顔にティッシュを当てて止血している。ぼくもポケットからティッシュを何枚も出して、男に渡す。どれも使い古しで、黒い染みがついているがそんなこと言っている場合ではない。幸い、H氏は鼻が折れたものの、たいした負傷ではなく、そのまま歩き続けられそうだ。

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