4月5日の夢(水野晴郎さん)

 ある詩の催しに向かい、妻と一緒に神田あたりの道を歩いている。後ろから編集委員のSさんの声が聞こえるので、てっきり自分たちに向けられたものだと思って返事をしたが、別の人宛てだったらしい。彼女は「今日はお風呂に入らない日だからいいわね」と言いながらぼくらを追い越し、先にイベントの受付の列に並ぶ。
 受付の横に窓口のカウンターのようなものがあり、そこには昔風の口ひげをはやした五人の男性が並び、ぼくらに話しかけてくる。
 いくつかのグループの受付が終わり、ぼくら夫婦の番になった。受付をしているのはなんと、亡くなったはずの映画解説者、水野晴郎さんだ。まだ生きておられたのか?! 「どこかであなたににはお会いしましたよね」と水野さん。「はい。X社のPR誌のインタビューでした。いやー、ピアノも映画もいいですよね、とお話ししていただきました」とぼく。「でも考えてみると、随分強引に二つを結びつけたものですよね」と二人で笑い合う。

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