1月3日の幽霊夢

居間のソファーで蒲団をかぶって昼寝をしていた。夢の中で、ぼくの右手には壁があって、そこにがっしりした体格の男の影だけが映っている。別の男がそれを指さして、「これはAさんだ」と言う。Aさんとは昨年11月に急逝した長老詩人である。確かに、それはA氏の影のようだ。影は壁に立ち姿で映ったまま、微動もしない。ぼくはこれが昼寝の夢であることが分かっていて、それがA氏の幽霊であると感じている。でも、A氏とは若い頃からの長いつきあいだし、親しい人なんだから怖くないと思う。外出していた妻が玄関から帰ってきた。隣の部屋に皎々と電気をつけて、仕事をしだした。ぼくは安心して、再び眠りにつこうとする。足下の方で、ざーっ、ざーっという音がしている。はっと目を開けると、家の中は薄暗いままで、妻はまだ帰っていない。やっと妻が帰ってきた。本当に隣の部屋に電気をつけて、仕事をしだす。ざーっ、ざーっという音は、ぼくのかぶっている蒲団が床にこすれて、立てている音ではないかと思う。また、はっとする。家の中は薄暗い。妻は帰っていない。
(というのを何度も繰り返しているうちに、金縛りがとけて本当に眼を覚ましました。そして本当に妻が帰ってきました。ソファーの右側には実際に壁があります。でも、蒲団は床にはついておらず、ざーっ、ざーっという音の由来は不明です)

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