そのときは通り過ぎたままだったが、ふと気になって立ち止まることがある。詩でもそんなことが起きる。夢で、蜘蛛を見たのかスパイダーマンを見たのか、今朝とつぜん豊原さんの『蜘蛛の体の人間』を思いだした。ついでに、遠いむかしの田舎の風呂の壁にいつもべたっとへばりついていた黒い大きな蜘蛛も、裸になるの怖かったなあ。
蜘蛛の体の人間
豊原清明
昔、喧嘩はいけないと
教えた人はいるだろうか
夕方、風呂に浸かっていると
大きな蜘蛛が壁を這っていて
やっつけようと思ったが
生かせてやろうなどと
余裕満面だったが、
腹が立ってきて
こいつ!こら!
と、石鹸で潰そうとすると
ぼぎっと、折れて、蜘蛛は
風呂の水に流された
もしや、肛門の穴にはいったら
不健康だ
スパイダー
マンになるのか
蜘蛛が体内に・入ったなら
疲れてしまう
この齢・・・
学校は争いの魔宮であった
公務員が子どもを
拷問するようであっては
愚かなる 何とよくない、学校か
その学校がもたらした被害とは
この、体ではないかい?
傷・だらけ
手首に跡が残った・傷
母から
損傷なく生まれたのに、である
不意に背後から、
殺気が走った
振り向くと
蜘蛛人間がにたにた、笑っていた
影が気味悪く、
空に溶けゆく
揚羽蝶
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