THE SECRET ISLAND

『THE SECRET ISLAND AND THE ENTICING FLAME』著者はEDWINA.CRANSTON。この本の半分以上のページは水野るり子の詩論である。当たり前だが、どこを開いても英語。読めないのが残念。それでも外国の人が水野さんの詩をどのように受け止めているのか知りたい。そんないきさつがあって(たいしたいきさつでもないけど)有志が集まり、水野さんを中心に訳す会なるものを立ち上げた。昨年の話。しかしながら素人ばかり(英語に強い人もいるけど)で船はでたけど漂流状態。といっても、世の中うまくできてるもので助っ人aburamoto先生があらわれて、順調に目的地に向かっている、というのが今現在。そのうち1冊の本となって世の中に出るとは思うけど、まだはっきりはしていない。私は部屋をとったり換気をしたりのお手伝いで、あまり実践には役に立たないが、日本語と英語を比べてみる作業はそれなりにおもしろい。割り当てられた箇所を順番に訳すというのが会員のノルマ、なので自分があたってないときは、ゆとりがあり楽しいのである。日本語だと頭を素通りする言葉も英語となると数秒は立ち止まる。数秒どころか、ああだこうだと30分も立ち止まったすえ、著者に聞いてみようということになる場合もある。じっくり言葉を考える良い時間でもある。今日は私の好きな詩をひとつ。
        帽子の気配
              水野るり子
  帽子のことを思うたび
  ふいにねむくなる
  夢のなかでなくした
  あの帽子のせいで
   (目の前に
    晴れ上がった空があり
    一本の木がゆれていた・・・
    こんもりとした
    その緑のこずえを
    両手いっぱいに抱えて わたしは
    すっぽりと頭を被った そして
    ひと足ごとに
    頭上に葉ずれの音をききながら
    ゆっくりと歩きはじめた
    おおきな緑の帽子を落とさないよう
    からだじゅうの小枝の先で
    バランスをとりながら
    どこかへ・・・遠くの方へ・・・)
  
  そこで
  夢がうすれていって
  わたしは途方に暮れている
  今でも あの帽子の感触が
  からだのなかに
  なまなましく残っていて
  急ごうとすると
  わたしの頭上で何かがかたむく
  路上で ふいに
  帽子の気配を感じると
  わたしはねむくなり
  そこに ぼんやり立ちどまる
  ひくい足音が わたしを離れ
  道を逸れて
  ゆっくりと どこかへ
  遠ざかってゆくのは
  そんなときだ
  路上に うすい影となった
  わたしを置いて

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