名まえのない土地

洪水が引いた後、海のそばの会社で後片付けをしている。もう夜遅い。このまま今日は帰れないだろう。いや、明日も明後日も帰れないだろう。女性詩人Iから手紙が届いた。手紙には恨みの思いが書き綴られている。だが怨んでいるのは、Iだけではない。ここは昔、ちゃんとした名前を持つ土地だったのだが、今会社のある建物を造るために、その土地もろとも名前も奪われたのだ。洪水の後、あちこちにサインのような落書きのあとが露出している。これは、名前を奪われた人たちが、その名を記念するために書き残していったのだ。だが、その大事な土地もこの洪水で永遠に消え失せてしまったのだ。Iの悲しみ、人々の悲しみがぼくには分かる。(そのまま夢の中で大泣きしました)

カテゴリー: パーマリンク

名まえのない土地 への2件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。