怖いはなしの語り

夏だからということでもないが、岡本綺堂訳の『世界怪談名作集』を読んだ。昭和4年改造社から刊行された『世界大衆文學全集』35巻の復刻版である。今は河出文庫(上下)で読める。
岡本綺堂というと半七捕物帳と怪談話と漠然と思っていたので、翻訳もの?と一瞬、本の前で立ち止まってしまった。もっとも岡本綺堂が古今東西の怪奇小説に目を通していたというのは有名らしいけど。すごいなあと思って(何がすごいんだか分からないけど)読みはじめたら、ひとつひとつの短篇のよくできていること・・・・そりゃそうでしょう!デッケンズ、デフォー、ホーソーン、モーパッサン等、超有名人ばかりがぞろぞろ(だからといっておもしろいという保証はないけど)綺堂先生の選ばれた話はどれもおもしろい。「世界の怪談を自家薬籠中のものとし、自らの作品と変わりない文体で日本語へと移した綺堂の古典的怪談アンソロジー」である。読みながら、作家さんみんなもう亡くなってる(あたりまえといえばあたりまえだけど)ということに気がついて何かすごく不思議な感じがした。今生きてるのは私だけ。作中の人物だってもう死んでるし、と思うとうーん私はどこにいればいい?みたいな感じ。それから怪談の文化の違い、私はどうも日本の怪談は苦手だけど、外国物だと結構楽しめる。レトロな家の感じも幽霊さんも。距離があるからかもしれないけど。二冊1000円ちょっとで、とても楽しめた。

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