猛暑が続いている。このような暑さの中では、脳も煮詰まってくるようで働かない。蝉の声に静かさを感じるくらいが関の山である。
しかもこの季節は賑やかで騒々しく、沸き立つような行事が多い事でいっそう暑さが募る。頭が働かないからこそ、そういう事柄で刺激をし恍惚状態にさせ、暑さを忘れようとするのだろうか。
8月は地獄の釜のふたも開く旧盆、原爆を落とされて敗戦を喫した月、その他さまざまな行事がデッドヒートしていやがうえにも熱くなる感じだ。
それにも拘らず、そんな中の一つ、花火を見に行った。
ここの花火の見ものは、走る船から海中に落として破裂させる水中花火である。砂浜に座っていると、眼前の海から巨大な半円の火の花びらが身体を突き上げるような轟音と共に花開き、それが船の移動と共に次々に咲いていく。それが4回ほどプログラムにあり、後はもちろん尺玉やスターマイン、職人の工夫を凝らした新しいのもある。海風を受けビール片手にそれらを眺めるのは快く、かつては時々出かけていたのだが、行きはまあまあとしても、帰りの混雑が怖いので、最近は行かなくなっていた。
人の流れの混雑はまだいいとしても、そこに行くには電車に1駅乗らねばならない。小さな駅なので、その改札が大変なのである。だからかつてもそれを避けるためにフイナーレの最も見所となる場面をあきらめて一足早く帰ったり、駅の近くに銭湯があった頃はそこで時間をつぶして帰ったりしたものである。
しかし今回は最後まで残るつもりであった。
開始一時間半まえに駅から歩き出したのだが、もう人の波である。しかし海にでると、正面は避けたのでまだゆっくりと場所は取れる。なんといっても海岸線は続いていて、目の前に海は広がっている。混雑など忘れてしまう。夕陽が雲を染めながら沈んでいき、夕闇に少しずつ包まれえていくのを感じながらビールを飲みながら枝豆やおにぎりなどを食べるのは心が伸びる。風もなく海も静かだった。
昔よりも少し変わっていた事は、もちろんその年の流行とか新型というのはあるでしょうが、私の感じでは水中花火に色々な色彩の花火が混じっていたこと、かつては昔からの花火色の同色だけで、しかし太く大きく堂々として、それが次々に花開いていくのが素晴らしいと感じていたのが、今回はそれを最終には感じたものの、前の方は華やかさの方がかっていた感じ。
見物客の方も、年によって違いはあり、今年は携帯を向ける人が多い事、「やはり花火はナマがいいよね」と言いながら、私の前方に座っていた青年はしきりに携帯を差し上げて、それを見ることの方が多い気がして、おかしくなってしまった。
帰りはどうでしたかって?
この群集の多くが小さな駅の改札に殺到するわけですから・・・・。それで砂浜で30分以上(8時15終了ですが少し延びました)そのまま浜風に吹かれていて、やおら歩き出したのですが、これぐらいでは駄目でした。
それにしてもこの人波をさばく技術と苦労は大変だなあと思い、その方法の一端を見たということ、またさばかれる群衆の一人となって体感したということ、その事もちょっぴり書こうと思いましたが疲れたので省略します。しかしそれほど辛抱はせず何とか10時30には帰宅しました。
しかしこの混雑を避けるのはもっと遅くまで帰る時間を延ばして、帰ることを覚悟しなければならないでしょう。だからなかなか出かける気持ちにならないのです。
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