秋晴れの「台峯歩き」

上空には一片の雲すらない、秋晴れの絶好の行楽日和となった。
山頂にわずかに白雲をたなびかせた富士山が、少しかすみながら遠望できる。
今日は20人ほどの参加者の中に5人ほども初参加の人がいたので、Kさんも説明などに張り切っていた。そこで最初は、駅前のバスの停留所の向かいにある海軍の石碑のところに足を止めた。海軍省が昭和16年に建てたと刻まれているこの碑は、この辺り一帯がその頃要塞の一つとして重要な地であったことを示したものである。北鎌倉は海軍の町だったそうだ。そのため高台にあたる台峯は、主として海軍の将校たちの住宅があったのだという。歩く会の休憩地である「老人の畑」からは横須賀線のプラットホームが遠望できるが、そこから軍港のある横須賀まで電車に乗っていく軍人さんがこれが最後かもしれないと台峯を眺めながら乗り込んで行ったこともあるかもしれない…とも。
今年は暑かったせいで夏の花がまだ残っている。しかしそれに反して冬鳥の飛来が早いという。
アオジ、シメなどがもう来ている。モズもそうだがキビタキは今までにないほど数が多いそうである。それゆえ紅葉もかえって早いかもしれないとのこと。
今回は主にイネ科の植物に注目しながら歩く。皆地味な草だが、鳥たちの食糧である。猫ジャラシに似ているがもっと猛々しいチカラシバ、線香花火に似た穂を出すオ(雄)ヒシバ と メ(雌)ヒシバ。大きな穂を出すノガリヤス、それを繊細にしたようなカゼグサ(群生すると石鹸の匂いがするというけれど…)。葉っぱがフナに似ているからというコブナグサ。
花は、この季節にふさわしいヨメナ(いわゆる野菊といわれるもの)。夏の花だがまだツリフネソウ(蜜が美味しいので吸ってみてくださいと言われたので試してみたが、もう昆虫に吸われた後のようで蜜はなかった)やミゾソバも多く見られた。面白いのにアキノウナギツカミというのがある。花は小さく黄色っぽいが、茎にギザギザがあって、昔はこれを束ねてウナギを取ったからではないか…と。
田んぼではもう稲刈りが済んでいて稲が干されていたが、このところの雨でぬれていた。暑い夏で台風の被害もなかったので豊作なのだろうか。トンビが上空を悠々と何度も旋回していた。風もなくいい日和である。モズの声が時々する。I さんが、このモズは声が悪い! とけなす。モズは賢くて他の鳥の真似もできるとのことだから、もしかしてカラスの声をまねたのかも?
「老人の畑」では、横浜から来たらしい小学生たちがお昼を食べていた。周りのススキ原が美しい。
そしてコースの出口辺りのオギ原(まだ白くなってなくて赤みを帯びているが)が、外来種で繁殖力の強さから嫌われ者であるセイタカアワダチソウもこれほど群生すると見事で、両者のコントラストが目を楽しませてくれた。

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