今年の蝉

この夏、蝉が遅れているようだと、新聞が報じていた。
私もそれを感じていたのだった。
ああ、夏が来たなあ! と感じるのは、蒸し暑い長雨がある日急に明けて、真っ青な夏空になったような夕方、カナカナと細い声で鳴く、どこか哀しく寂しいヒグラシの声を聞いた時だ。
いつもは大体ここでは中旬である。鳴かないなあと思っていたら、台風6号が徳島に上陸した日の20日、各地に大雨を降らせていたがここは晴れたその夕方、ヒグラシが鳴いた。
しかしそれはどこか心許なげだった。その後、鳴かない。
今朝、入り口の戸の敷居に蝉がいた。ヒグラシで、まだ生きていたが、すぐ捕まえられるほどに元気がなかった。「どうして鳴かないの?」と言いながら手に乗せるとやっと飛び立っていった。
今日は一日晴れたのに鳴かない。気温もまだ猛暑まではいっていない。
もちろんまだミンミンも鳴かない。
地震や放射能のせいではなく、春先の低温の影響と新聞では言っていたが、これは先日の台峯の時も話題になった。蛍も例年よりも一週間遅れているという。
一般的に、なぜか昆虫の世界に異変が起きているという。今年からある昆虫がバタッといなくなった。25年見ているのに、また環境が変わったとは見えないのに…。森がしっかりしていれば大丈夫と普通言われているが、どうもそうではなく昆虫だけがということがある…と。
でも樹自体もあちこちで樹液が出なくなった、ということもある…とも。
そして自然に付き合えば付き合うだけ、観察を続ければ続けるだけ自然がよくわからなくなる、自然は一筋縄ではいかない、自然はいつも想定外の姿を見せるのだというのが、Kさんの意見でした。

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