豊原清明さんの詩にはよく父がでてくる。私は母のことはよく書いたが、思うに病気になってからの母しか書いてないので、そのうち「母」というものを書いてみたいと思っているが、これはまだまだ時間がかかりそうだ。そのついでにというと変だが「父」というものも書いてみたい。豊原さんの作品には実に素直に父がよくでてくる。それで読むたびに、ああいいな!と思う。
秋のオランダ
豊原清明
爽やかな風に カーテンが揺れて
父よ、父よ、と
祈るかのように 呟けば
ふと、木の葉が吹いた
青白い父の顔
湯水をかぶって
「ハイッ!お休み!」(註)と
父は笑顔して
風呂を沸かした
衣なる 布団に寝て
部屋が暗くなった
闇から見える
父の禿げ頭
お休みと言って
お休みと言われて
お茶飲んで
しっこして
薄い蜉蝣
眠っている間に
夜に蠍が輝く
星という名の自転車
死んだあの子の
チューリップ
チューリップ ああ星よ
(註)2011年、「明石市立文化博物館」で「放浪の天才画家山下清展」を7月、8月、二度見に行き、山下清の画に魅了されて。清画伯の 貼り絵。
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