いよいよお盆休暇で車は渋滞、新幹線も満員、空港も混雑で人々の移動週間が始まった。人が元気に動いているのは、なかなかいいものだと今年ほど感じたことはない。加齢のせいもあるかもしれないけど、まわりに暗いニュースが多すぎるからかもしれない。といって出かけたい気分にはなれないので、今日は何もしないで、冒険ものを読んで気分だけでもひたろうということにした。『空白の五マイル』角幡唯介(集英社)チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑むとサブタイトルにある。ブックレビューで紹介されて、この本を知ったのだが、まったく裏切られず一気読み。開高健ノンフィクション賞を受賞している。そうだろうそうだろう!!ツアンポー峡谷に人はなぜ魅せられるか、外国の探検家たちの話や遭難した武井義隆さん(これは泣けます)、チベットの人々の変化(2002~2003年探検のあと2009年冬にまた行くが、このときは政治的な事情やケイタイの普及でポーターが雇えなくて単独行になる)など、地図や写真を参考にしながら、苦しくて長い旅を数時間。「・・・極論をいえば、死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。過剰なリスクを抱え込んだ瞬間を忘れられず、冒険者はたびたび厳しい自然に向かう。・・・論理をつきつめれば、命の危険があるからこそ冒険には意味があるし、すべてをむき出しにしたら、冒険には危険との対峙という要素しか残らないだろう・・・」ううんそうだと思ったとき、岡本太郎のいつもの過激な言葉を思いだした。「なぜ冒険家は一時的なものだけに身体を張り、永遠に対して挑まない、賭けないのだろう。ぼくの(危険に賭ける)というのは、日常の、まったく瞬間瞬間の生き方なんだ」ううん!!「冒険は賭けである。ならば一生を通しての闘いであるべきだ」ううん!!!!うなってるだけで日が暮れそうだけど、岡本太郎はこんなことも言っている。冒険を計画し準備に取り組んでいるときが最高だと言ったヨットの堀江青年の言葉を取り上げて、「そのとき、実は彼は(冒険)をやっているのではない。着実に、人生に賭けていたわけなのだ。ところが、なまじ結果として(冒険)に限定されてしまったために、終わりがあるのだ。終われば空しい。だからまたやる。」ううん!!!!(冒険)という言葉の使い方がモンダイ??? どちらにしても面白い本だった。
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