思うこと

『詩と思想』8月号は沖縄の名詩特集を組んでいる。沖縄に住んでいる詩人の作品をこんなにまとめて読んだのは初めてだ。山之口貘や花田英三、そのほか2、3名何となく読んだことはあったが、沖縄という土地柄を意識して読んだことはなかった。編集後記で佐川亜紀さんはこう述べている。「沖縄の詩に満ちる海光と生命の言葉は根源的力を感じさせる。「日本」は縮みの文化と言われるが、島から宇宙に天翔ける想像力は枠を超えている。しかし、「日本全土」が沖縄に強いてきた歴史的な抑圧、沖縄戦の過酷さ、米軍基地の脅威は、生活と文化をおびやかしてきた。沖縄詩の鋭い批判性と怒りをこめた叙事詩は本土を絶えず打ち、問うものである・・・・・・・・・」と。それで 最近読んだ熊本の杉本一男さんの『坑の中から 鼓動が』を思いだした。6冊目の炭坑詩集であり、リアルタイムで書き継いでこられた。炭坑という世界での労働者の命と暮らし、炭函を曵く馬たちの歴史などが書かれている。私にとって「炭坑」も「沖縄」も教科書的な知識だけで知らない世界だ。しかし詩というかたちで個人から発信された、これら哀しみや怒り、理不尽さや驚きは、心に何とストレートに伝わってくるのだろうと思った。

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