家のまわりはとても静か どちらかというと年配の人たちが住んでいるので、外まわりはとっくにすませてある。窓なんてどの家もきれい!!! 同じ年配でもあたふたしているのは私ぐらいか?で掃除はもうあきらめて、今年は黒豆や小豆をもらったので昨日からせっせと(?)台所に立っている。ごまめに身欠きニシンに栗きんとんにぜんざいに・・・・作るのはいいが誰が食べる?という疑問ありだが、作りだすとこれが意外と止まらないのである。
つい最近、森口祥子さんが詩集『風は昼さがりに』を土曜美術出版販売から出された。森口さんは詩誌『青い階段』でご一緒させてもらってる先輩である。能ある鷹は爪をかくすタイプ。帯に一色さんが「森口さんはいつもひとり、考え込むようにじっと何かを見ている人だ。・・・・・その視線があまりにも優しいので、世界にはいつも穏やかな風が吹く。・・・』と書かれているが、そうそんな感じの人。でも結構ちゃめっけあるし、声が低いから一見孤独っぽく見えるだけかもしれない。それになにかも底なしっぽいし。詩集のタイトルになった詩を紹介します。
風は昼さがりに
森口祥子
木漏れ日の中を
風は静かに吹き抜けて行った
果たされなかった約束のように
もういいんだ と
ひとり言をつぶやいて
声が消えてゆくのを
待った
枯れ葉のように落ちてきた
蝶が
ぬかるみの上で
黒い斑点のあるオレンジ色の翅を
ばたつかせる
リュックに付けた鈴を
リズミカルに鳴らしながら
二人連れが追い越してゆく
こんにちわ と
小さく呼びかけて
声の行く方を見つめる
燃え始めたばかりの
ナナカマドの向こうに
遠く ベイブリッジが見える
立ちつくして
私は今を肯定する
林は風を待っている
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