やっと秋らしくなった。台風の後、ミモザとユーカリと(クリスマス用みたいな)木が傾いてしまった。ミモザとユーカリは、えっさえっさとひっぱたのだが、もう一本の木は、押そうがひっぱろうが、びくともしない。強情なでっかい犬を相手にしてるみたいで、勝手にせいという感じであきらめた。
今日は、背筋がひやりとするけど笑っちゃう、そんな詩をひとつ。
簡易ばば
小柳玲子
暗い所によくいる
終戦後、簡易アパートの奥の部屋に住み着くことが多かった
夜が更けると米をとぐ ざくざくという音がはじまると
みんな布団を被り 耳をふさいで眠った
アパート全員が出かけると「猫さんや」を歌う 猫は逃げる
キキキキと笑う 赤ん坊が泣く 先ごろでは
駅裏の掲示板に張り付いていることがある
「猫探しています」と書いて猫に化け ポスターの中にいる
飽きると 飛び出し めんどりになって 歩いていく
馬鹿な詩人の夢に潜って やくざな卵を産み落す
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