ことの葉っぱ
星野元一
畑はみごとな ザッソウ
という名の葉っぱばかりだ
たしかに前世は荒地で
地主はザッソウであったのだ
とっくに
観念している
だからせめて
わたしの机の紙の畑も侵略し
ナスやキュウリやトマトにはなれない思想の
ことの葉っぱたちを整列させ
オメエーラ!
と頭を棒でたたき
ケムシやカメムシやカやアブやハチ
をほっぺたにくっつけ
死んだモグラやネズミやトカゲやヘビ
を目の前にぶらさげ
イイカ!
アヤマレー!
と怒鳴って
鼻をこすってみてはくれないか
昭和の餓鬼大将のように
ことの葉っぱは
気位ばかりが高いのだ
わたしが諭すと 嫁のように
フン といい
昔の姑のように
ヘン といってそっぽを向き
わたしの育てた畑の野菜に
けちばかりつけてくるのだ
今日、星野元一さんの個人詩誌『かぎゅう』39号が届いた。この作品のほかに2篇とゲストの新保啓さんの作品。どれもおもしろい。「地主はザッソウであったのだ」なんて、日頃ザッソウを目の敵にしている私はどきり。そうだよなそうだと妙に納得して、でもやっぱり観念なんかしないと思いつつも、やっぱ私も観念してるのかもしれない。ついでに私はバッタも追加したい。しかし言の葉は、本当に気位高くて気難しいです。
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