政治 キャロル・アン・ダフィ 英国王室桂冠詩人

政治  Carol Ann Duffy 熊谷ユリア訳
一体どうやったら、あんたの顔を、
痛みで啜り泣く石に
変えられるのか。あんたの心臓を、
ズキズキと血の汗を流す
固く握りしめた拳に変えられるのか、
あんたの舌を
扉のない掛金に換えられるか
                  ※
 全くわたしの大好きなキャロル・アン・ダフィは英国王室桂冠詩人になってしまった。あの反抗的な、夜
のしずかな窓をあけ、あなたを愛していますなんていっていたうら若い女が男と一緒になって、タマネギ
なんかあげていたり、マンハッタンの高層ビルから裸で手をふっていた彼女があっという間にシングルマザーになり、レスビアンにもなり、大学教授にもなり、おデブちゃんになり、王室のローリエ詩人になってしまった。現代は少しもゆっくりさせてくれないらしい、彼女もおばあちゃんになったり、わたしもおばぁちゃんになったけれど、シルビア・ブラスのように悲劇的になりたくはないと思っていたら、その息子はどこか
地球の寒い寒い場所で凍え死んでしまった。これほど過激になることはないと思うけれど、しかし、この
単純な詩を書く詩人はちょっと女の人でも怖かったのです。

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