大変不思議に思うのは、イリアスが叙事詩であることとホメロスによって口承で語られたものであることだ。この大変大きい物語が架空の物語だと思えない程リアリティがあることだ。神話はもうできあがっていたのだろう。それと叙事詩であるからには、これに近い出来事が紀元前にあったか、いろいろ細かい出来事をまとめて大きな一つのものに構成したのかも知れないと思う。次の作品「オデッセイア」では
オデッセイアがいろいろの場面でイリアスを上演させ、アキレスやその他の運命に涙を流すという構成になっているという。
平家物語は事実を弾き語りで口承したものであるのと、イリアスは少し違っているのかもしれない。
ギリシャに本当にあったことは、アレキサンダー大王でこれも映画になって、ものすごいスケールでびっくりしている。とにかくギリシャというところはすごい。あらゆる哲学者がずらりといて、神話があって、
美しい彫刻があって、演劇も盛んで、医学も音楽も生まれて、都市国家があったのだから、けれども
女の地位は低くほとんど奴隷に近かったようである。ニーチェが「悲劇の誕生」を書いたのは20代でギリシャのことをあんなに輝しく、そして悲劇的に描いたのはびっくりすることであった。ギリシャでは神々と人間は同じ地位にあり、違うところはただ人間は死ぬが神々は死なないというところであった。このことは大変面白かった。アポロンの他にもうひとり、ディオニソスという神を付け足したことも愉快であった。
つまり、このイリアスがきっと、あとで、私たちの未来を切り開くことになるかも知れない。
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