アイリッシュダンスとイルン・パイプ

アイリッシュダンスと音楽のグループ「ラグース」のショウを見に行ってきた。
エネルギッシュで華やかな女性たちのダンスは、もちろん最大の魅力だっ
たし、ヘイリー・グリフィスの澄みきったすばらしい歌声にも心ひかれた。
だが私は独特の味をもつ民族楽器イルン・パイプの音色にもっとも心惹
かれた。まるで気持ちを吸い込まれるような気がする。
寂しくて、なつかしくて、それはこの世の岸辺からあの世の岸辺へと、
深い懐かしさを込めて呼びかける声のようでもあり、またこの世での追憶
をひたすらに語る、あの世の住人の声のようでもあった。
私からいえば、それはこの世ではついに到達できないある場所への、けれど
詩や音楽や芸術が生まれてくる、母なる無意識への、深い郷愁みたいに、
寂寥感を漂わせている。アイルランドは妖精が住む国といわれるけど、その
文化のもつ不思議な魅力から心が離れない。
帰ってきて、以前から惹かれていたケルト音楽のCDを何枚か掘り出してきて、
アイリッシュティーを飲みながら、寒い午後のひと時を過ごしている。
我ながら、ミーハー的である…。

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