今さら書くのもおかしいのですが、何ヶ月も前に高橋茅香子さん(私の英語の先生)に薦められていた映画「ボルベール」を、やっと昨日近くのシネマジャックで見ることができました。このところ足の調子をちょっと悪くしていて近くでないとなかなか出かけにくいのです。伊勢佐木町からすぐのシネマベティ・ジャックは、その点、上映時差があろうとも、常にいい映画や、見たかった名画をよくやってくれて、私にとってはありがたいミニシアターなのです。
私は、ペドロ・アルモドバルの作品では「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥ・ハー」を以前見ていて、この「ボルベール」で、女性賛歌3部作をどれも見たことになるのですが、今回のがもっとも楽しく見ごたえがありました。主演のペネロペ・クルスの美しさと魅力とバイタリティ、怖さとユーモアを背後に秘めたストーリ−のスピーディな進行、女たちの楽天的行動力、見るものを元気付けずにおかないような、かれら相互のデリケートな思いやりと洞察力。とにかく万華鏡的に迫ってくる映像でありながら、心に染みいる…そんな各場面から目をそらすことができませんでした。
さて今日はその中でも圧巻だった歌のシーンを思い出しながら、《VOLVER》(帰郷)の詞をパンフレットから,以下に引用させていただくことにします。
VOLVER
かなたに見える光のまたたきが
遥かな故郷に私を導く
再び出会うことへの恐れ
忘れたはずの過去がよみがえり
私の人生と対峙する
思い出に満ちた多くの夜が
私の夢を紡いでいく
旅人はいくら逃げても
いつか立ち止まるときが来る
たとえ忘却がすべてを打ち砕き
幻想を葬り去ったとしても
つつましい希望を抱く
それが私に残された心の宝
帰郷(ボルベール)
しわの寄った額
歳月が積もり銀色に光る眉
感傷ー
人の命はつかの間の花
20年はほんの一瞬
熱をおびた目で
影のなかをさまよいお前を探す
人生ー
甘美な思い出にすがりつき
再び涙にむせぶ
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