「水を作る女」 文 貞姫

鈴木ユリイカさん発行の「SOMETHING 4」を読了。力強い作品の数々を読む楽しみにしばらく浸った。いくつかの魅力的な詩の中で、今日は特に惹かれた文 貞姫さんの作品を写させていただきたいと思う。
                
                          水を作る女   文 貞姫
                   
                    娘よ、あちこちむやみに小便をするのはやめて
                    青い木の下に座って静かにしなさい
                    美しいお前の体の中の川水が暖かいリズムに乗って
                    土の中に染みる音に耳を傾けてごらん
                    その音に世界の草たちが生い茂って伸び
                    おまえが大地の母になって行く音を
                    
                    
                    時々、偏見のように頑強な岩に
                    小便をかけてやりたい時もあろうが
                    そんな時であるほど
                    祭祀を行うように静かにスカートをまくり
                    十五夜の見事なおまえの下半身を大地に軽くつけておやり
                    そうしてシュルシュルお前の体の中の川水が
                    暖かいリズムに乗って土の中に染みる時
                    初めてお前と大地がひとつの体になる音を聞いてごらん
                    青い生命が歓呼する音を聞いてごらん
                    私の大事な女たちよ
                                            (日本語訳  韓成禮)
                              ※
この詩をよむと、のびのびと心が解放される感じです。人の体は水の運搬人,水の管なのだと私も実感します。この感じは都会の暮らしではなかなか味わえませんけど。私は、乾いた鉢植えの木の根元に水をやるとき、地面が水を吸い込んでいく音が大好きです。
十五夜のような下半身…ていうのも新鮮!エッセイ「髪を洗う女」も同じ題の詩もどきどきする生命力を感じました。鮮やかな詩でした。                    

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