「出入口」から

最近送られてきた「出入り口」NO1から,荒井隆明さんの詩を一つ書かせていただく。
                
               三輪車
            
             ゆっくり遊んで
             何が悪いのよ
             と
             口をとがらせて
             女の子は少しずつ向こうへ
             小さくなっていった
             小さくなって
             小さく
             なっ
             て
             ・
             になったところで
             やっと安心して
             もう
             戻らなくていいのだと
             また
             ゆっくりと
             小さくなって
             軋んだ音が少しはじけると
             葉と枝の間に
             消えてしまった
             風が吹き抜けて
             道は吹き飛ばされ
             もう
             何もかも
             なくなって
             何もかも
             忘れてしまって
             時々
             風に混じって
             軋む音が
             乾いた枝のように
             折れているだけだ
この、時間の形象化がおもしろく、読後に残される空間感覚にひかれた。この号にはほかにもおもしろい作品があった。

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