源氏物語の世界に浸っているこの折、このような特別講座が開催されるとのことを知り早速申し込んだ。
平安時代の和歌の家、俊成、定家を祖として綿々と続く(もちろん更にその祖は藤原道長である)王朝の和歌守の家系、文化を守り続けてきた家である冷泉家のことは、新聞などで報じられ、すでに名高いのだが、その実態はどういうものであるのか、西欧で言えば由緒ある古城を見学させてもらえるような感じで聴講した。
近年になってやっとその重要性が国にも認められて学術調査も始まり、財団法人となってからは、長い時代を経て守られてきた(倉が5つもあるとのことであった)歌書(8百年の伝統の中で集積されてきた勅撰集、私家集)や歌学書、古記録などを、将来の保存のため調査と平行して「冷泉家時雨亭叢書」全84巻を完成。その完結の記念として新聞社後援で行われたようである。私は和歌は詠まないが、日本の伝統的な詩歌としてそれをないがしろにはできないジャンルであり、その詩的情緒は私の中にも脈々として流れているものであり、詩を書き続けていくにつれ、また歳を重ねていくに従ってこの国の伝統の力をいっそう感じないではいられない。源氏を読み返そうとしたのもそのことがあり、しかもちょうどそういう今であったので、貴重な機会と期待して出かけた。
ここまで書いて、ちょっと緊急の用事ができたので続きは稿を改めます。
念のため冷泉は[れいぜい]と読みます。昨夜は横浜のヒルトンホテルに泊まったが、読めなくてちょっとスペルを書いてくださいと言われたと貴実子さんは笑っていらっしゃいました。ぎっくり腰になっていて、幸い着物の方が腰のサポートには良いようでと・・・この叢書の宣伝のためにも頑張って出ていらっしゃったようです。平安の面影を残したようなふっくらと、ゆったりした感じの、良いお声の方でした。
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