『Happy Feet』 を観る

オデヲン座最後の映画として、この『ハッピー フィート』を観ました。
これはアニメ映画ですが、ブログ星笛館でも取り上げらていましたし、新聞でも「おそらくアニメ映画の一つの到達点を示す作品だろう」とありました。
そうでなくても動物大好きの私は、本物の皇帝ペンギンの記録映画を観ていましたし、南極の自然とそこに生きる皇帝ペンギンの、まさに皇帝と名づけられるべき生態の素晴らしさに感動していたので、それをアニメがどのように迫るのかという関心があったのです。
これが見られてよかったと思いました。アニメとは思えないほどペンギンは良く出来ていました。元々ペンギン自体、ちょっとアニメ的ですからね。それがヒーロー、ヒロイン、脇役、また主人公を助けるアデリーペンギンの5人(羽)組などの個性的なペンギンの他、2万5000羽もスクリーンに出てきて、歌い踊るのですから楽しくて圧倒されます。
この題名は、幸福な足(両足)を意味して、足から生まれたようにひとりでにタップダンスをしてしまう主人公のペンギンの物語りです。しかしそれゆえというより、彼は歌が全く歌えないことから群れからは異端児としていじめられ排斥されるのです。しかしまたそれゆえに群れを救おうと冒険を重ねる救世主的存在にもなり、また彼らにとってはエイリアンである人間とのコミュニケイトを果たすということにもなります。
このように子どもが楽しめるアニメでありながら大人向けの寓意性と深いメッセージを含んだ映画ですが、それは別にしてどうしてこのようにペンギンの自然の動きが表現できるのだろうと驚かされ、その踊りもタップもとてもリアルで笑ってしまうくらいでした。
メッセージの中心にあるのは「愛」である。それでサントラも、愛を歌った有名なロックやポップスを集めたもので構成されている。エルビスの「ハートブレイク・ホテル」や「マイ・ウエイ」などもあって、ペンギンがそれに合わせて踊りうたう姿はなんとなくエルビスを思わせるなまめかしささえあった。
しかし後半になると暗いトーンになる。ここには人類によって破壊されようとする地球の未来を映し出していくからである。しかし結末は希望を持って終わる。「ペンギンが地球を救う?」 主人公のペンギン、マンブルが、仲間たちからは哂われたタップ・ダンスという表現で、人間たちにメッセージを伝えたからだった、と言う事になるだろうが、そんな事よりもスリルとスペクタクルと歌と踊りを楽しめばいいだろう。
主人公のマンブルの「みにくいアヒルの子」のような、ペンギンらしからぬどこか悲哀に満ちた顔と姿がいい。
ただメッセージとして感じた事、今ここで言うような「愛」、キリスト教的な愛が、これからの地球を果たして救う唯一の思想なのだろうか、ということである。もちろんこれを否定はしないが、今はもっと別の何かが必要なのではあるまいかと・・・。

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