今日もまたどんよりとした空の下、時折雨が降っている。梅雨明けは8月になるかも・・・と告げている。
こんな日々の続く昨日、弦楽器のソリストたち16人ほどで構成されるこの合奏会を聴きに出かけ、さわやかな気分になって帰ってきた。
しかし、記録的な豪雨によって、少し前には長野など中部日本、また今は鹿児島など南九州で川が氾濫し道路も鉄道も水面下に没したり、山や崖が崩れて家が押し流され死者も出ているのを見聞きするにつけ、何か申し訳ない気になったりする。欧州では記録的な暑さで、パリなども40度近くにまで気温が上がり、死者も出ているとか。確かに世界的に最近は異常気象がつづき、これらも地球温暖化の一つの現象かもしれないが、とにかく自然というのは人間の手に余る、頗る厄介なものだなということを痛感させられる。
90歳になるまでこんなことは経験したことがないと語るお年寄り。しかし被害にあった人たちの多くは、ただ早く雨が止んでくれることを願うだけ・・・と静かにつぶやくだけである。これだけ人類が進化し、科学が発達し、近代化し、国が豊かになり国力もあるのに何の為すすべもないのである。
アメリカ南部を襲ったハリケーンだってそうだ。
こんな時先日TVで「人間の脳に潜む 地球破壊のメカニズム」という内容で養老孟司が秘境でそれを解明する番組を思い出す。すなわち「脳」という知(理性、意識的、合理的な解釈、「ああすればーこうなる」という因果関係、すなわち科学、近代的思考)の発達は、人間を「肉体」という感性(五感、意識下、非合理、混沌、未開といわれる、もやもやした部分)から人間を解き放ち、人間に秩序や合理性を味わわせ、それが脳に快感を与えた。そして脳はどんどんその方向に進むのであるが、それこそが自然破壊、地球破壊につながっている、と解くものである。脳ばかりを発達させて、自然である肉体の声を無視するためにストレスなどが生じると同様、環境の場合も、「脳」に当たる「都会」に対しての「緑」、「田舎」の都市化が進み、すなわち近代文明の発達、近代化、コンピュータ化が発達しすぎてしまっているゆえに地球破壊の方向に進んでいるとというのであるが、これらは今までも言われてきたことであろう。
しかしその中で私の心に残ったことがあり、これも当然のことかもしれないが、自然(肉体)は決してコントロール(征服、支配)はできず、それと対話するしかないという言葉である。すなわち、自然には人間の論理や理性で測れるような因果関係、ルールなどはなく、それを知るにはただ対話をするしかない、その声を聞くしかないということである。「秘境」の人々はそうしながら生きて来たのである・・・と。
「台峯を歩く会」のKさんが常に言うのもそのことであった。この自然をどうしたらいいのか、その答えは直ぐには見つからないと。自然はその土地土地によって全て違う。年によっても違う。だから学者の説も研究も、参考にはなってもこの場所に全て当てはまるわけではない。いつもいつもこの自然と付き合うことによって、どうしたらいいか考え、試行錯誤していくしかないのだ・・・・と。(昔の人は生活の中でそれをやってきたのでした)それが「里山」の「手入れ」だと。しかし役所の管理下に置かれるとそうは行かないであろう。しかしこれは別の問題なのでこの辺で終わります。
閑話休題。
こんな風に依然とつづく梅雨空の下、コンサートに行ってきました。内容は「真夏に聴きたい名曲集」と銘打ってモーツアルトを最初と最後に置いた、いずれも楽しくさわやかな曲、それに身を浸しながら脳も身体も共に快感を味わいながら帰ってきたのでした。
モーツアルト(ディヴェルティメント ニ長調 K.136)
ヴォルフ(イタリア風セレナード)
ヴィヴァルディ(協奏曲集「調和の霊感」から第8番 イ短調)
休憩
バーバー(弦楽のためのアダージョ)
チャイコフスキー(アンダンテ・カンタービレ)
モーツアルト(セレナード第6番 ニ長調 K.239 )
この家も丘の中腹にあります。この下の町は、床上浸水したことがありますし、このあたりも崖崩れの危険が常にあります。そうならないようにと、これからの梅雨空に向かって祈るしかありません。
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