「台峯歩き」前回のつづき

 さて、先ず鳥の事。
問題になっている中国から渡ってきたガビチョウ(蛾眉鳥)ですが、最近盛んに声が聞かれるようになりました。鳴き声は高く鋭く、ウグイスの声を圧するくらいです。また温暖化の現象でしょうか、この辺りでは珍しかったキビタキの鳴き声もよく聞かれるようになりましたが、これも台峯で繁殖するようになったようです。この鳥も、日本では昔飼い鳥としても珍重された(今は飼ってはいけない)南方からの渡り鳥で、実は昔私も飼ったことがあります。この鳥は、全体が黒色で、眼の上とノドから腹にかけてと、背中にも黄色い部分があり、それらがとても映えて綺麗なのです。大きさはウグイスと同じくらい。しかしガビチョウはもっと大きいのです。プリントの写真を見ると全体はウグイスの色に似て渋い色ですが、頭と腹は橙色、目の周りはメジロのように白く縁どられ、その白色がぐいと眉のように伸びている。この大きさと鳴き声の鋭さは在来種を圧倒してしまうようです。
この時も、両方の声が同時に聞かれましたが、キビタキの声はじっと耳を澄ませなければ聞きとれないほどです。しかし声は高くてとてもきれいなのです。どちらももう、この辺を故郷とする種になってしまったようですが、やはり外来種は強く、臆面もなくのさばる感じなので、Kさんは控えめで慎ましやかなキビタキ、を即興詩人のようだなどと言って、しきりに肩を持つのでした。
田んぼでは苗代を作っている段階、ツバメが飛んで、そこの泥を巣作りのために持って行っているようですが、こういう泥が街中では少なってきた今、ツバメの数も減った感じがします。
またカワトンボも今の季節ですが、これも水辺がなければ出てきません。そしてそういう川に蛍が出ます。今年ももう蛍の季節が近くなり、その観察会の日程も発表されました。
 次に、ハルジョオン(春女苑)とヒメジョオン(姫女苑)は、雑草といわれる類で、道端に白い(時に薄い紅も混じった)小さな菊に似た花を咲かせる野草。最初にハルが咲き、それが終わるころヒメが咲き始めます。その判別方法を、この日教わりました。こんなことを覚えたからと言って何の役にも立たないかもしれませんが、こんな風に丹念に周りを眺めているだけでも、自分もその一部である自然がいかに巧妙に成り立っているか、またそれを探索するだけで生きている人生は面白く楽しく過ごせそうな気がします。たとえお金がなくても。
判別方法 ①咲く時期は今書いたように、ハルが先(4~5月)、ヒメ(6~7月)。 ②つぼみの姿、ハルは最初うなだれる。ヒメはまっすぐに伸びて、逆三角形型に花が咲いていく。 ③葉の付き方。ハルは葉が茎を抱くようにして付いている。ヒメは、葉には柄がある。 ④茎。ハルは空洞。ヒメは空洞ではない。
一番よくわかるのは、葉の付き方です。それを見ればすぐどちらかが分かります。
こんな風に微妙な違いを持つものも、それぞれに棲み分けをして、それぞれが生きているものだと感心させられます。今日は菜種梅雨のような、1日しとしと霧雨のような雨が降り続いています。昨日の晴天は貴重でした。今回の台峯報告はこれまでとします。
      

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