「レクイエム」を聴きに行く。

年下のTさんが属している混声合唱団コール・ミレニアムが 第10回記念演奏会として、東京芸術劇場で行う、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を聴きに行った。一昨日(9月8日)の事である。
劇場もリニューアルされたばかりのオープニング週間、その改装なったばかりの大ホールでの演奏会である。
共演はフィルハーモニックアンサンブル管弦楽団(指揮:黒岩英臣)、独唱:佐々木典子 大島郁郎)特別出演としてハープとオルガンが加わっている。
  第一部は、管弦楽団による モーツアルト晩年の3大交響曲の一つ第39番(変ホ長調)。  
第2部が、ヨハネス・ブラームス「ドイツ・レクイエム」 作品45であった。
Tさんはこの他コール、フリーデなどにも属していて、主としてレクイエムを長年歌っている。
最近は大震災などもあってレクイエムを歌う人も多くなったということだが、この合唱団も演奏会がその翌日の3月12日に予定されていたが、それでも東北の人々に対しての祈りを届けようと、あえて開催しレクイエムを歌ったらしい。
今回のレクイエム 《ドイツ・レクイエム》は、いわゆる教会における死者のためのミサ曲であるレクイエムとは性格が違っていて、普通ラテン語で歌われる歌詞をブラームスは、ドイツ語の聖書から引用し、合唱が盛んであった当時の一般市民が親しみやすい演奏会用のレクイエムを、10年がかりで完成した曲だという。
しかもこれを作曲した契機は、恩師であるシューマンの死、彼自身の母親の死であり、そのため内容は残されたものへの慰めと癒しがテーマになっている。そのため不信心者に対する脅し(と私には感じられる)「怒りの日」の部分があったり、その後の天国行きを奨励する(同前)歓喜の歌があったりするのではなく、全編に悲しみが漂い、しかしその中でも微かな喜びが混じりこみハープやオルガンによって神秘的な境地、慰めへと導かれるといったような構成になっているようだった。
挨拶の中にも、これは「死の悲しみを歌い、愛するものを神のみもとに送り、悲しんでいる人々に慰めが与えられるよう願った作品」であり、いまだ心癒えぬ東北の方々に、心を込めて送りたいと思います。」と書かれてあった。
実はKさん自身も長年共に暮らした相棒を失って間もない時期の練習の日々であった。これを練習し歌うことで、悲しみに浸り、また慰められ救われたようだと語っている。
歌が持つ力を感じた。 

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