残暑の台峯歩き

この季節、台峯歩きもさぼることが多いのですが、集合場所までのアスファルト道路は暑いものの、谷戸歩きのほうが家にいるよりも却って涼しいと思って出かけました。お盆明けの事もあり、やはり参加者は少なく、理事のほかは常連だけの10人余り、案内役のKさんもリラックスした感じで、いろいろ自分の体験(蜂に刺され死にそうになったことなど)や好み(人間ではなく植物の)なども語り、全体としてくだけた、のんびりした歩きになりました。
蝉もツクツクボウシが加わります。でもこの法師蝉が今年は少ないようですが…?
この季節は目を引く花、昆虫のくる花は少ないのですが、それでも草原や道端、木陰に生える目立たない花、つる草などがやっと昆虫たちに食糧を供給しているようです。
山の手入れなどでは厄介者とされるヤブガラシ(わが家でも見つけ次第退治します)は、蝶や蜂をたくさん集めるそうで、彼らにとってはありがたい。ヘクソカズラ(小さいながら可愛い花なのに、こんな名前では可哀そう。名前を変えてやる運動をしよう!などと冗談交じりにDさん、でもいったん名前が決まったら、それを変更することは、植物学会ではできないのだそうです。だから日本では別名でヤイトバナと言われているので、そう読んであげましょう、などとも)。馴染みの烏瓜の花(これは昼間は萎んでますが)、樹木としてはクサギ、道端にはミズヒキソウ(普通は赤いのですが、黄色のキンミズヒキ、白い花のギンミズヒキもあり、それぞれ見られました)、ダイコンソウ(キツネノボタンに似た小さな黄色い5弁の花)。ムラサキニガナという、キク科で花弁を閉じた形で俯いて咲く小さな花ですが、それがタンポポのように綿毛になる雑草など。
樹の下には、薄紫色のヤブランや白い小さな花をつけるヤブミョウガ(これらは日当たりがあまり良くないわが家の庭にもたくさんある)。そしてコヒルガオ(普通のヒルガオより小さい)、またちょっと珍しいタマアジサイ(この季節に咲く)など。
さてあまりに細かいことばかり書きましたので、ここで田んぼの事を書きましょう。
第一の田んぼは青々とした葉の間にたっぷりと実った稲穂が首を垂れ、その上をシオカラトンボが飛び交っていました。第2の田んぼは谷間なのでやはり遅く、まだ稲穂の生育も遅れていましたがこの厳しい残暑は、実りにを促すことでしょう。
見晴らしのいい「老人の畑」の木陰で休憩、ここでKさんのはちに刺されて死にそうになった時の体験談なども出て、蜂に刺された時はどうしたらよいか、教えられたのでした。とにかく手で払ってはなりません。蜂を怒らせてしまったのですから、ただひたすら平謝りの態で(姿勢を低くして)逃げ出すこと。一匹くらいから刺されてもそれを良しとして、それ以上刺されないように(その他の蜂も狙っているのだそう)こちらが暴れると何匹も襲ってくる、走って逃げてもあちらのほうが早いのですから、などと。
さてKさんの好きな植物に、今日も出会いました。ミズタマソウ。花はルーペを使ってみないと分からないくらい小さい白菊に似ていて実が水玉のようになる。そのほか葉っぱがヤマイモに似ているオニドコロというつる草です。これも花は花穂で、それも花であるかどうか分からない地味なもの。
「とにかく目立たない、ひっそりとした地味なものが好きなんですね」と皆は言い、「この長い花穂は繊細で、少しの風に揺れているところなど、素敵でしょう」などというのにも、「ふーん、そうですかね」などと、いつものことながら誰も聞き流しているだけです。でもそういうちょっと変わり者でオタクのKさんを尊敬し、その熱意と知識に感服しているのでした。
出口近く、これもKさんの指摘で分かりましたが、カラスザンショウの葉に、カラスアゲハが卵を産み付けているところを目撃しました。この蝶の幼虫は、この木の葉を食べてさなぎになるのだそうです。
さて今回の歩きも、誰も熱中症にもならず無事に終わり、来月のマツムシの声を聴く日の予告を知らされ解散しました。

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