初夏の台峯歩き・ノイバラ(野生のバラ)の宴

今日は台峯歩きの日。少し朝は肌寒く、曇りがちですが陽も射してくる、歩くには良い日和でした。
集まった人12人ほどの少人数でしたから、ゆっくり観察し、Kさんの薀蓄にも耳を傾けながらのんびりと歩いたので、時間も1時間ほどオーバーしてしまいました。
やはり季節は1週間から10日、遅れ気味。今は春と夏の野草が入れ替わる端境期で、観察はイネ科やスゲ類、またシダなどの地味なものになってしまいます。でもよく見れば、それはそれで面白さがあります。
5月の花には白いものが多く、ハルジオン、卯の花と言われるウツギ、マルバウツギ、箱根ウツギ(これは紅白)など。樹木としてはエゴノキ、その葉っぱには「落とし文」も葉を丸くして下がっていました。紫の諸葛菜や小さい野草ですがコバノタツナミソウ(小葉の立浪草)なども。
そして今日は、オギハラに刈り残しておいたノイバラの群落がちょうど花の盛りで、匂い立っているからそれを見に行きましょうと、それを楽しみにあるきだしました。
駅に降り立つ人は、この時期青臭い匂いが辺りに満ちていることに気づくかもしれませんが、それは椎の大木から放たれる椎の雄花の匂いです。それが昆虫を誘い、受粉をさせるのです。
第一の田圃は、今畔作りの最中でした。畔は毎年古いのを少し壊して、新しく作り直すのだそうです。今ではそれをコンクリートで固めたり、板囲いにしたりしますが、それでは田圃の生態系を保存することにはならないことを、説明を受けて教えられました。これは手間・暇がかかります。今では成算の合わぬ行為です。でもそれによって日本の里山の生態系は保たれてきたのです。そういう一見無駄な行為によって、人間の農業と自然の生物たちとは、共存できたのです。経済的合理化は、そういう農業の敵ですね、とKさん。皆で宝くじでも買って一発当てたらここが買えるのですけどね…と。
その半分だけやっと畔が作り変えられた田んぼの水たまりでは盛んにシュレーゲル・アオガエルが鳴き、まだ卵もオタマジャクシも泳いでいて、その上をここだけに多いシオヤトンボ(シオカラより少し小さく、尾の全体が白い)がすいすい飛んでいます。
この時期、渓流ではカワトンボが見られます。それもオスの羽が透明なのと、オレンジ色なのとがいて、メスはすべて透明。その縄張り争いの様や、そこでメスがやってくるのを忍耐強く待ち続けるオスの様子まで、Kさんにかかると昆虫のドキュメンタリーとなってしまい面白いこと限りありません。そういう事もあって道中は時間がかかってしまったのです。
その他、ヤマサナエというトンボ、また大変貴重で、この谷戸にしか見られないというヒゲナガハナノミという蛍くらいの大きさの昆虫も見ることができました。
昆虫は、生態系を考えるうえで大変重要なのだが、植物より実態がつかめず、またその変化も説明できないことが多いということです。蝶もそろそろ姿を見せています。
さて、鳥ですが、今数が減っているというツバメの姿はこの辺ではまだ見られますが、ホトトギスの声を私はまだ聞いていません。台峯では鳴いているとのことでしたが、今日は耳にできませんでした。
キビタキが鳴いているとのことですが、私はよく聞き取れませんでした。エガラの幼鳥もいたとのこと。中国から渡来したガビチョウも六国見山にもいるようです。ちょっと話が混乱しましたが…。
最後に、出口に近いオギハラの中にあるノイバラの茂みのことを述べて終わりにします。
園芸種のバラよりも強い匂いで小さな白い花が乱れ咲いていて、皆で取り囲んで声をあげました。
小さな昆虫たちがいろいろ飛び回っています。熊蜂も来ていました。この花は沢山の昆虫を呼ぶのだそうです。シューベルトの野ばらもこのようなものだろうか、などと言ったりしました。これも花期が終われば刈り取られてしまうでしょう。ひと時の、台峯のバラの宴でした。
来月はもう蛍の季節になりました。早いものです。

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