インド音楽 シタール演奏を聴く

ちょうど2年前のこの時期、ブログにも一度書いたことがあるこのインド音楽の演奏会に、今年も昨日聴きに出かけた。
シタール演奏は、ヨーガ教室の堀之内博子先生の夫君、幸二先生である。
三味線とギターを合わせたようなシタールという楽器は、インドの代表的な弦楽器で13世紀ごろ古来からのものを改良して作ったのが始まりという、北インド音楽で使われる楽器である。本胴と共鳴胴は乾燥したトウガンから作られ、長いネック(三味線の棹に当るか)は特殊な木材。当初は3本弦であったが、後に7本になり、現在では18~20本の弦を持つ洗練されたものになったとのことだが、そのうち18~20本が共鳴弦ということからも分かるように弾き方はギターのようだが、旋律が共鳴して深く広がりのある音色をひびかせるようだ。1オクターブが22の微分音に分けられるというのもよく分かる。複雑微妙な自然の音色に近いのかもしれない。
シタールのほか、前回と同様タブラというインドの太鼓、演奏も前と同じ龍聡さん。今回は、タンブーラ(今野敬次)というシタールを一回り小さくしたような楽器が加わりこれは低音部をずっと奏で続ける。
前回も書いたが、旋律も時間帯に沿ったものになるというのも、音楽があくまでも自然の中にあるということを意味する。今日は夜のラーガから始まった。会場は真っ暗になり、演奏者の前に置かれた、小さな蓮の花の中に蝋燭を灯したような小さな照明だけで演奏される。少し聴き慣れたせいかもしれないが、同じようでありながら微妙に変化している旋律は、懐かしい瞑想的な世界に引き込まれる感じがした。
休憩(この間、マンダリン紅茶とクッキーが饗された)を挟んでの第2部の最初は、日本の歌、赤トンボや五木の子守唄などが演奏される。
シタールは三味線のルーツとされるというように、日本の古い旋律と同様5音階であることから、そういう日本人の心に響き懐かしく感じられる民謡と共通するところがあるようだ。沖縄の島歌もそうであり、結局そういうものすべては通じ合うのかもしれない。タブラの繰りかえされる響き、それは16音符であり、シタールもそのリズムに乗って奏でられる。両者が合わなくなると迷子になってしまうそうである。微妙なタイミングのタブラのリズムは、何となく日蓮宗徒が叩くウチワ太鼓の テンツク テンテン ツクツク というリズムにも通じてくるような気がした。
最後は朝のラーガという曲で終ったが、1時間半というのは短く、もう少し聴いていたかったと思う。林間で静かに目をつぶって瞑想しているような気分にひと時を過ごして、早くも年末商戦で賑わう横浜の雑踏を抜けて帰ってきたのだった。

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