初夏の台峯歩き その一

夏と冬が入り混じったような日の多いこの頃、この日は風は少し冷たいけれど陽射しが強くからりとした一日でした。
初参加の人がなぜか多く、24、5人のかなり大勢になりました。
今回は、道端の雑草といわれるものたちを主として観察していこうという事で、プリントも作成されていましたが、こういうマニアめいたものよりも、もっと木の花などの写真にすればよかった、夜遅くまでかかって作ったのに失敗したと、Kさんは苦笑していましたが、目立つ木の花は名前を知らされればすぐ分かるわけで、道端のいつも見慣れている雑草の方が、知らない事が多く、初心者にとっても興味深いものだったと思います。
特に今回はイネ科のもの、しかしこれが一番難しい。地味で種類もいろいろあり、区別も難しい。そして大体において厄介者。私も狭い庭にそのつんつん、ひゅるひゅる伸びるそれらを見たら、急いで抜いてしまいますから。
でもよく眺めるとちゃんと地味ながら花も実もあり(イネ科というだけあって稲に似ている)姿形もそれぞれに特徴あり、風情あり、とKさんに代わって言えばそういうことになります。
先ずどこにでもよく見られる、イヌムギ、カモジグサ、スズメノカタビラ(これだけは覚えました)。イチゴツナギ、カニツリグサ、ドジョウツナギ、などは、昔の人の暮らしが偲べます。その他オニウシノケグサ、トボシガラ、など。またカヤツリグサ科も似たようなもので、これにはカヤツリグサのほかマスクサ、アオスゲなど。これはイネ科と同様、線の美しさがある、とK氏は言います。彼は植物の中でも、地味でひっそりとして、庶民的でどこか淋しげなものが好みです。
花としては、ヤブイチゴ、キツネノボタン、ウシハコベ、ヤブジラミ(目に見えないほどに小さな菊に似た白い花は確かに虱のようでしょうが、ちょっと可哀そうですね)。トウバナというのも、オドリコソウのような花ですが言われて見なければ分からないように小さいのです。
でも名前など覚えなくていいのだ、とKさんは言います。それは単なる記号に過ぎない。そんなことより、よくよく眺め観察するだけでなく触ってみたり嗅いだり、時には、噛んだり齧ったりもしてその植物と馴染む事だ。そうするとそれへの愛着が出てくる。それがそのものを知るということだと。
こうなればもう、オタクですね。そう言ってKさんは笑います。だから変わり者になってしまったと。
さてそんな風に雑草たちを観察し、ハルジオン、マルバウツギ、ミズキ(ナハミズキではなく)などの花を見ながら、第一の田んぼにやって来ましたが、今日はこれまでにします。

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