このところ気持の良い秋日和が続きます。
昨日は台峯歩きでしたので出かけてきました。田んぼには黄金色の稲が実っている頃なので楽しみです。何日か前、電線に止まって声をあげるモズの姿を見かけ、秋が心の底にすっと入ってくる気がしました。
集まったのは15、6人、初めての人も半数ほどです。今日はイネ科の植物を中心に見て歩きましょう、とKさんがいつものようにカラー写真のプリントを渡してくれます。多くはKさんが最近、この辺りを歩いて実際撮ったものです。写真には撮りにくいものだといいます。それに駐車場とか道路とか、変哲もないところに生えているものですから見かけた人から咎められたり変に思われたりするそうです。きれいな花などは咲かせない雑草ですから。しかしいわゆる雑草ではないというのです。
外国でもハーブなどの、いわゆる野の花、雑草というのには分類されていないとのこと、すなわちれっきとしたイネ科の植物なのです。稲はその典型的なものだと言えるでしょう。
そのことからも判るように、イネ科の植物は、人間と深い関係があるのだそうです。人が畑を作ると、必ず生えてくるのがイネ科植物であり、いなくなると生えなくなり、深い山の中には無いそうで、人間に一番近い植物だとのことです。麦や稗、粟など五穀の多くがイネ科であり、わたしたちの生存には欠かせないもの。そう言われてみて、私も食料以外のイネ科の植物たちを、雑草の中でも強かに蔓延る厄介ものとばかり思っていたのに気づきました。スズメもまた他の鳥たちも、この穂を啄ばんで食料にするのです。またどんなイネ科のものが生えているかによって、その土地がどういう風に使われているか、そこの環境もわかるという。こう聞くとイネ科の者たちに親しみが湧いてきました。いわんやその名前が分かるとしたらいっそう・・・。
さて、それで資料を手に歩き出しました。観察したのは、代表的な雑草(もちろん他の雑草とは違うと知った上で)のオヒシバ、メヒシバ(3本ほどの線香花火のような穂を持ったどこにでもある、地面に広がるようにして生える。名前で分かるが前者は太く、後者は小さい)、これは誰でも知っている猫じゃらし(エノコログサ)、これもキンエノコロ、アキノエノコロなどある。煙突掃除のブラシのような強い穂を持つチカラシバ、カゼグサというのは、名前通り風にすぐ揺らぐような繊細な穂を持っている。チヂミザサ(葉っぱに縮み皺がある)、イヌビエ、ノガリヤス、サヤズカグサ、コブナグサなどいろいろ、これ以上足を踏み入れると何でもですが奥が深いので、入口のこの辺で終っておきます。
田んぼは、2箇所とも稲穂がそよいでいました。第一の、広い方は今稲刈りの最中らしく、半分ほどが刈り取られていました。その上をウスバキトンボが飛びかっています。
第二の田んぼも、少し日当たりが悪いので遅れていましたが、まもなく稲刈りのようです。でもここが何時まで持つかです。ぎりぎりまで宅地開発が迫っているからです。
実は、洞門山の問題も、まだ解決していません。開発業者もしぶとく、2区画だけは奥の方で住宅地に近い事もあって、こちらも妥協せざるをえないかと思っているようですが、後3区画、それはかなり切り崩さねばならない大きな工事になるようですが、その施工許可をシルバーウイーク前に、急遽取ったとか取らないとか、市長選挙も迫っているので、それからどうなるか、まだ未解決だという事です。
そのほか鳥としては、空を舞うノスリを見ることが出来ました。トビとどう違うか、それもKさんの解説と、3脚ごと抱えて持ち運んでくれる望遠鏡が無ければ私たちには分かりません。また谷戸の池では、青鷺を望遠鏡で、大きくありありと眺められ感動です。昔の人は鶴と間違えたというのも道理、ツルのように大きく、首をぐいと上げて、堂々としていました。
イネ科の植物だけではやはり彩が無くて淋しいのですが、いわゆる老人の畑では、紫色の小さな花を咲かせているヤマハッカ、またシオガマ、谷戸の湿地のツリフネソウ群落が目を楽しませてくれました。さて、先月のこの辺の松虫の声が、チンチロで終っていたということに対して、その後にまたここを訪れた時、確かにチンチロリンと鳴きましたという報告がありました。やはり虫も、鳴き始めよりだんだん上達していくのでしょう。
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