台峯歩き(青田とバッタ)

梅雨が明けてから梅雨空が続き、ときどき猛暑になるかと思えばもう、秋の気配がするようになりました。
今日も日本海側の高気圧におおわれて、真夏の太陽の下に秋風が吹いていますが、日曜日も同じような天気になり、台峯を歩いてきました。
お盆である事からも参加者は少数で10名ほど、ゆっくりのんびり観察しながらの歩きとなりました。実はこのくらいが一番いいのだと、Kさん。Kさんの動植物の薀蓄を間近に聞く事ができました(もちろんその多くは素通りしていくのですが)。
今日の目玉は穂をつけた青い稲田と昆虫(バッタ類)です。
第一の田んぼは、すくすくと伸びた青い稲が穂をつけ、花を咲かせていました。広々とした青い絨毯の上には爽やかな風が吹き渡り、トンボが飛び交っていました。稲の花をご覧になったことがありますか。つくづく眺めたのは初めてで、目に付くのは多くはオシベで、メシベはほとんどなく、花びらもないとの事。この時期、花が落ちないようにするため、田んぼにはなるべく入らないようにするのだそうです。
飛び交っているトンボは、ウスバチトンボ(ショウリョウトンボ)、これは竿の先に止まらないのだそうです。よく見られるシオカラトンボ、またシオヤトンボ(このあたりに多いとか)。オオシオカラトンボ、これは第2の田んぼのところで見られました。名前だけあって、目玉は黒々して厳つい感じです。
夏の日差しの下でも青田を渡る風はすがすがしく、心も広やかになります。昔はこういう風景が至るところに見られたことでしょう。その青い葉っぱの上に、Kさんが早速、小さなイナゴを見つけました。保護色なので、それを何気なく見つけてしまう眼には驚いてしまうのですが、その青い色をしたコバネイナゴについての講釈が始まりました。
今日は、そのような稲や草原に棲んでいる昆虫の観察がメインになりました。
第2の田んぼは日当たりがよくないため、まだ穂が出ていません。でも何とか無事に育っているようです。さてさて昆虫ではありませんが、蜘蛛についても今回は観察の対象になりました。蜘蛛もまた彼らが作る巣も、実にさまざまで、精巧を極め、面白いことにも眼を少しだけ開かされました。とにかく蜘蛛が居るということが昆虫が居る、すなわち自然が残っているということだそうです。今、都心では蜘蛛が居なくなっているとのことですが、どうでしょうか。
女郎蜘蛛はよく見られるもので、この家にもいますが、蜘蛛の巣にも注意をして歩いている時、誰かが面白い巣を見つけました。それはナガコガネグモという小さな蜘蛛で、細かな網の真ん中、自分の身体ぐらいの部分だけ、すりガラス状に厚く作っていて、何となく仏像の光背のように見えるのでした。それは自分の身を隠すためだということで、確かに後ろから見れば隠れるようです。
かくのごとく、自然の仕組みの不思議さ巧妙さ、美しさなど知れば知るほど感嘆するばかりで、その道に入れば奥は限りないものに思えますね。
いわゆるこのコースの展望台、老人の畑では、木陰で休憩しながら眺望を楽しみまた群刈りした草むらでのバッタやイナゴの観察。これら昆虫についても、Kさんの説明を聞きながら歩くと、時間を忘れるほどですが、あまりに煩雑になるので省きます。
いよいよ台峯の谷戸に下ります。ところが沼に人がいて、どうも釣りをしているようです。「釣りは禁止」の立て札があるにかかわらずです。Kさんに続く私たちは、行程から少し逸れて近づいていき、Kさんが「何か連れますか」と訊ねました。最初の青年は何も釣れていないようしたが、次の青年は、フナが釣れたといっていたようです。Kさんは静かに、ここは釣りが禁止なのですが、と言っていました。青年がどう答えたのか聞こえませんでしたが、私たちはまたいつもの行程に戻りました。
今日は相手がおとなしい人だった、と言ってましたが、反対に怒ってくる人もあるようです。こんな沼で魚釣をしてもあまり楽しくないような気がしますが、釣りであればどこでもいいのかなあ。
今回は目立つ花は少なく、キンミズヒキ、ダイコンソウ、Kさんが好きだという水玉草、葉っぱが面白い切れ方をする矢筈草、センニンソウ、タカサゴユリなど。
今日はこれまでにします。

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