初春の台峯歩き

昨日春の嵐が通りすぎ、今日は久しぶりに快晴の穏やかな日です。
このところ雨がち曇りがちの日が多く、菜種梅雨が一ヶ月ぐらい早く訪れたのではないかと言われているようですが、山歩きには恵まれた一日でした。
でも集まった人は少なく、年度替りで忙しいか、またはもっといいところへお出かけでしょうか、総勢でも15人ぐらいでした。少人数なので、のんびりゆっくりと、観察しようということになりました。
自然観察を始めるのには一番いい季節なのだそうです。まだ芽吹きの時期で、花も少なく、それゆえ自然はシンプルで覚えやすく印象にも残る。花も木も種類が多く目に付きやすい春の盛りは、目移りして覚え切れない。鳥にしても一番活発になるバードウイークの時期は、種類が多すぎて大変。この種類も数も少ない時期が、初心者にはいいのだということです。
樹木も早いものだけが芽吹きをし、咲く花も少ないこの時期、野鳥のさえずりと、越冬した蝶を楽しみましょうと言われ、皆で歩き出しました。
道すがら、垣根の下に生えている地味な草ですがヒメカンスゲの花なるものを教えられました。スゲの一種でしょうが、イヌジャラシのようなこげ茶色の穂のようなものに触ると黄色い花粉が飛びます。カヤツリグサと同様育てるのは難しいのだそうです。同じく垣根の下草のニオイヒバ、シダのようですが、葉を触るとヒバの樹のようないい香りが手に残ります。
花は、注意しなければ目に付かない、樹木の花、道端の草の小さな花たちです。
先ず高い木の枝が黄緑色に染まって見えるのがイヌシデの花。キブシの花と似ていますが、キブシはもっとカンザシ状に垂れ下がっています。これはあちこちに見られました。低木では、ヒサカキの花(これも地味で小さな黄色)、独特の匂いがある(ガス漏れの臭い、という芳しくない香り)。オニシバリの緑色の花など、教えられねば気が付きません。憎らしいほどあちこちに生えてくるアオキも雄花の蕾が目立ちます。それらの中でもピンク色で漏斗状の小さな花を下向きにつけるウグイスカグラは、名前と同様印象に残る可愛い花。
道端の花としては、お馴染みのオオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ。田んぼの中などにも生えているタネツケバナ(小さくて白い)、これには蝶がよくやって来るとか。ヒメウズの花も小さくて白い。少なくなったとされるハハコグサ。
樹木では白木蓮の蕾、桃の花、そして大島桜の蕾が大きくふくらみ、5輪ほど咲きだしていました。花は白く、緑の葉とともに咲き出すこの桜は、里桜の母種、成長も早く丈夫で台木となるそうで、葉は桜餅の葉に使うという。なるほど清楚でしっかりした感じで、早い春の陽光を思わせます。
期待された野鳥の囀りはあまり聴かれませんでした。ウグイスは少し前からまだ下手な声で鳴き始めていますが、その他メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ(シジュウカラに似ているが、少しゆったりした囀り)。ケン、ケンというかピオ ピオというか、そういう鋭い声を立てたのはアオゲラだそうです。トンビはゆったりと青空を旋回し、2羽が連れ立つように舞っているのは、これから恋の季節になるからだとのことです。もう帰る頃のモズが見えたとのことですが、わたしは見ることが出来ませんでした。
越冬の蝶には少しだけですが遭えました。先ず枯葉色した天狗蝶、緑の草に止まっているので葉っぱに間違えそうですが、鮮やかな黄色をした黄蝶。またカワゲラの成虫とか言う小さな黒い体をした昆虫。
湿地帯の中の水溜りのオタマジャクシは、数が減っていたとか(昨日の雨で相当ぬかるんでいたので有志のみが行く)、盗まれたのではないでしょうか。
周囲の環境としては、先日来問題になっていたテニスコートの件は、市が理解を示して工事中止、会からも基金の中から醵出して買い取る事の交渉が始まったという事ですが、そのほかこの谷戸は至るところ開発の危険に直面しているようで、この地がどういう形で残って行くか思いやられます。

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