台峯の夏の花々

台峯に向かって歩き出した時、蝉のことを訊ねて見ました。やはり今年は蝉が少ないようだと皆言っている、というのがK さんの答えでした。そして解散時に口から出たのは、ツクツクボウシの声が全然聞こえませんでしたね、おかしな事です、という言葉でした。でも私の家の周りではよく鳴いているし、ミンミンが鳴くよりも前に鳴きだしたのでおかしいと思ったのでしたが・・・。所によっていろいろのようですが、何か異常な感じがあちこちにあるようです。でも自然というものは元来そんなもので、いつも同じではないのかも知れず、少し神経質になっているのかもしれませんが。今この辺りでは、ミンミンが良く鳴いています。
さて台峯で今回よく観察したのはいろいろな花たちです。
でもこれは目に付く大きな花ではなく、ほとんどが雑草と呼ばれる花たちなのでした。この時期、春のようにたくさん花が咲くことはないので、その小さな花たちが昆虫にはとても大切になるそうです。
そしてその小さな花をよく眺めると、大きな花に負けないくらいにいかに精巧で、繊細、美しいかということを、Kさんは強調します。ルーペを当てて眺めると、なるほどと感心させられます。先ず第一の田んぼの稲の花はもう終わっているのですが〈それが実って籾になっている)、その痕跡のようなものも、指摘されなければ見たりしないでしょう。
ヤブミョウガの白米を砕いたような白い花、キツネノマゴという小さなとんがり帽子のような花穂は、小さな花が順番に咲いていつまでも昆虫を引き止めるという。わが庭にもあるヤブランの紫の花。よく見かけるジュズダマ、イノコズチ、タマアジサイ。
第二の田んぼの宅地化された周辺には、早速、ベニバナボロギクという、帰化植物がたくさん背丈を伸ばし花を咲かせていました。ボロギクと言われるだけあって、花が終わるとタンポポの綿毛よりもっとモシャモシャとしたものをつけて、それが飛んで行って増えるのです。これは荒地に先ず増えるもので、増えてほしくない植物です。アレチマツヨイグサも同様。
つる植物では、どこにもよく見られるへクソカズラ(こんな名前でかわいそうですが、別名はヤイトバナ)、この花の蔓を備前焼きの花器に挿したら風情がありますね、という人あり。オニドコロは、花穂が立って咲くのが雄花、逆が雌花と教えられます。この山芋に似た葉をもったこの蔓草の、巻きつくコイル状の髭蔓の何という繊細なこと!黄色い花で、終わったあとも鞠状になって目に付くダイコンソウ。実が水玉に似ていて花もきれいなミズタマソウは、Kさんが大好きな花だと言う。こういう風情の女性が好きなのかな。
カラスウリの花がたくさん見られました。花と言ってももうしぼんだものですが、ご存知のようにこの花は真夜中に咲き、それは白いレースのようでとても美しいそうですが、残念ながら私は図鑑以外に実物を見たことがありません。
そのほか赤いミズヒキソウはよく見られますが、黄色いキンミズヒキソウ,またスズメウリ。ミゾソバの花はまだ。
これら雑草と言われるものや蔓は、狭い庭に生えてくるとどうしても引き抜いて取らざるを得ません。そういうものたちが生息できるこういう自然が残っている事が豊かさをもたらすのだと思います。
壊されようとしている例の緑地の崖には、ここらが北限と言われるコモチシダ(シダの葉の上に小さなシダが生える)など、シダだけでも8種類が生息しているとか、今ではそういうことを根拠にして、どれだけ緑地を残せるかにかかっているようです。

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