先の日曜日は、30日以上も続いた真夏日のなかでは奇跡的とも言える涼しい日でした。
これまでの台峯歩きで、8月はまだ一度も参加した事がありませんでした。盛夏の中ではどういう様子だろうとは思いながら、暑さにしり込みしてまだ出かけたことがなかったのでした。
ところが朝起きてみて、驚いたことに予報では晴れだとあったのに、一面の曇り空、そして空気はひんやりとしているのです。千載一遇とばかりに急に思い立って出かけたのでした。
参加者はやはり少ないほうで、全部で15、6人。初めての人が目立ちました。
真夏は真夏で植物はチャンと生活しているのですから、それなりに見るべきことはあり、楽しかったのですが、それよりも危惧すべきことが露わになってきました。それを取りあえず書くことにします。
曇り空で気温も低く、歩くのはちょうどよく、まわりには霧のようなものが立ち込め、それが間もなく霧雨のようにもなったりしました。何年か前、東北地方を襲った冷害、「やませ」のような現象だ、という人がいました。こんな天気が夏中続き、太陽は隠れて陽が射さず、稲が実らないというのがちょうどこんな現象だというのです。前日の最高気温は34、5度、この日は26度というのですから、涼しいはずです。
危機は第二の田んぼに来たときに生じていました。第一の田んぼはすくすくと伸びた稲が穂をつけていて、爽やかな青田が広がっていました。今年は暑かったことから実りは良いようでした。
第二の田んぼは山近い事もあって生育が遅れてまだ穂が出ていません。それでも青い稲の波が広がっていました。しかしこれに続くところは暫く前から開発の手が伸びて、無残にもコンクリートの高い崖と宅地化がいっそう進み、間もなく家も立ちそうな気配でした。ところがその坂を上がったところも今や開発されようとしていたのにこの間は驚いたのですが、地形状、生態系上、手をつけるべきでない緑地までとうとう切り崩されそうになっているということを知ったのです。
これは先に書いたことでもありますが、この緑地は鳥たちをはじめいろいろな生き物たちの通り道、グリーンベルトになっていて、ここを切り崩す事はその往来を切断、分断する事、またこの地は地質上いろいろな岩石が交じり合っているところで貴重でもあり、またその結果植物も多様で、様々な貴重なものが残っていることなど、学校の教科書にも貴重な切り通しの一つとして掲載されているところ、ということが研究者、識者によって指摘されているということです。もちろんこれへの反対の声は各団体からも上がっているのですが、どうにもならないようです。
途中の周辺住民の隣組の掲示板に、そのことについての警告があり、反対を表明するピラも張られていましたが、もう手遅れです。
立て看板には、20年6月6日に市の許可が下り、工事の着手は8月18日から、21年3月31日とペンキの色も鮮やかに書かれてあったのです。それでも、この緑地の重要性を楯にどこまで譲歩させるかしかない、と経過を知っている人は憤慨しながらも冷静にそういっています。
この地は、市が残すと決定した台峯の範囲ではなく、周囲に過ぎません。ですから法に触れなければ、市は許可するしかないのです。大きな開発は禁止されていても、少しずつ開発していけば許可しないわけには行きません。それをここはやっているようで、またその丘を削って谷を埋めるというその緑地も、そこにテニスコートを作るということで、許可されたのだそうです。こんなところにテニスをやりに来る人がいるでしょうか、それは更地にする口実で、暫く寝かせていて宅地にするでしょう。
ここは台峯に至る道の中でも自動車道であるにもかかわらず両側の緑が深く、風情もあって気持ちのいい場所です。源氏山に至る分岐点でもあります。その片側を切り払ってテニスコートですって!!
周辺の住民は、そんな事は嫌だと反対するでしょう。しかし他人の所有地をあれこれ言う正当な理由はありません、業者も儲けることが本業ですし、従業員たちは生活がかかっています。
ああ、いつものパターンだなと思います。企業は商業ベース、金儲けの論理でことを運びます。住民たちは自然・生活環境から反対します。それは大抵平行線を辿ります。その両方を踏まえ、もっと大きな視野の上に立った見解や政策が必要なのでしょう。それが本当の意味で行政であり政治であり、理念でしょう。それが欠けているのだと、憤慨している人もいうのですが。
私もちょっと憤慨して喋りすぎましたので、この辺にします。
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