真夏の祈り「ヴェルディ・レクイエム」の演奏会

連日、真夏日・熱帯夜が続いて、少々夏バテ気味です。
一雨あればと思っても降らない。しかし内陸では突風や大雨や、日本海側では洪水になって、死者まで出ているようで異常な夏。そういえばもう鳴いてもいいミンミンの声がしないのです。カナカナはかなり前から鳴いていて、その上なぜかツクツクの方が鳴きだしているのです。と思っていたら、今日、友人からの電話の中で、蝉が鳴きませんねと。皆さん所ではどうでしょうか。
サントリー・大ホールでのヴェルディ・レクイエム特別演奏会に行って来ました。アフター5でアマチュア合唱に力を入れている友人が、合唱団として出演するからです。努力の甲斐あって、だんだん難しい曲をこなすようになり、そして大きなホールにも出演するようになり、しかもプロのソロの歌手、管弦楽団と組んでなので、いつも楽しませてもらっています。
最初は景気付けという感じの『威風堂々』、次に本命のレクイエムでしたが、ヴェルディのは「三大レクイエム」といわれる、有名なモーツアルトとフォーレに次ぐ一つであることを私は初めて知りました。
何しろ大作で、演奏時間は90分、休憩をはさみ2部構成となります。
昨年の「東京カテドラル聖マリア大聖堂」でのヘンデル:メサイアのときも、会場としてなかなかいい雰囲気でしたが、今回もやはりヴェルディにふさわしい会場です。合唱団も、5つの合唱団がプロジェクトを組んでヴェルディ・レクイエム合唱団として編成されたもので、250人余り大合唱団。オルガンを背景に半円に段差がついた管弦楽の舞台との間の(確かこれは客席にもなる思える)空間にずらりと並んでおり、レクイエムですので皆黒衣、女性は薄くて白く長いマフラーを巻いた、それら姿は赤いシートにも映えて視覚的にも美しい。
ソロの歌い手は、合唱団と管弦楽団の間に場所を占めています。
      指揮は小松一彦
      ソプラノ:佐々木典子  メゾ・ソプラノ:岩森美里
      テノール:中鉢 聡  バリトン:福島明也
      合唱指導:久保田洋 小屋敷真
      管弦楽:フイルハーモニックアンサンブル管弦楽団
この曲は、最初は亡くなった偉大な同郷の作曲家ロッシーニーの追悼のためにかかれたもので、しかしこれが興行上の理由から中止になってしまい、その後敬愛するイタリアの詩人アレッサンドロ・マンゾーニの不慮の死に遭って、今度こそとこのレクイエムを捧げる事にしたのだそう。二人への哀悼の気持がこもり、しかも60才を超えた晩年の作だけあって音楽的な完成度も高いという。
はじめはチェロによる聴こえるか聴こえないような響きからはじまり、次に又静かな、つぶやくようなコーラス、そしてコーラスだけのフーガ、といった始まり方をするこの曲、そしてソロがそれぞれに場面に応じてアリアのような歌声で歌い上げ、又それとコーラスのさまざまな絡み合いなどから、全体的な印象としても、やはりオペラを感じさせ劇的で、又先の二つより近代的なものに感じられた。解説によればブラームスが「これこそ天才の作品」といい、初演のときも「モーツアルトのレクイエム以来の傑作」と評判と同時に「教会音楽に相応しくない」とも言われたのもなるほどと思う。
私は2階席の左側だったが、まさに演奏の只中でちょうど真後ろからトランペットが鳴り始めたのにはびっくりした。これはバンダというステージの外からも演奏する一つの技法だったのである。客席の上方の左右から、ファンファーレが鳴り渡るのであった。
さまざまな技法を使ってドラマチックでスケールの大きい大作、こちらがそれをしっかり受け止めるほどのものを持っていない悲しさはあるけれど、十分に楽しく、帰ってくるとやはり暑さもあってちょっと疲れた一日でした。
Tさんも大役をおえてほっとしたと同時にぐったりしているのではないかしら。でもまだ若いから、次のステップに向けてもう心は歩きだしているかも・・・・ 
      

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